WTCR:ベルギーの若手有望株ジル・マグナス、Comtoyouとともに世界戦デビューへ

 TCRのリージョン選手権最高峰TCRヨーロッパ・シリーズなどでも活躍するベルギー出身のジル・マグナスが、欧州域内限定開催へと改訂された2020年のWTCR世界ツーリングカー・カップへの挑戦を発表。国営ASNが推進するタレントサーチ&開発プログラムであるRACBナショナルチームの支援を得て、Comtoyou RacingのアウディRS3 LMSをドライブする。

 現在20歳のマグナスも、2018年のTCRヨーロッパ王者に輝くミケル・アズコナや、同世代のルカ・エングストラー、アッティラ・タッシなどに続き、同シリーズからトップカテゴリーに昇格することが決まった。

 これは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により開幕が遅れたことを受け、FIAが期間限定でシーズンエントリーの受付期間を延長したことで実現したもの。

 加えて、スポーティングレギュレーションの一部緩和により「ルーキードライバーを含む場合は、1チームにつき3台目のエントリーを認める」との条件を利用した形だ。

 これによりマグナスは、2020年WTCRシーズンに向けトム・コロネル、ナサニエル・ベルトンのチームメイトとしてアウディRS3 LMSのステアリングを握り、これまでに3回以上のWTCRイベントやWTCC世界ツーリングカー選手権参戦経験のない、23歳以下のドライバーを対象とする“ルーキードライバー・アワード”獲得を目指すことになる。

「2020年の初めにTCRヨーロッパへのフル参戦をアナウンスしたけど、これは僕にとって2019年シーズンに初優勝を経験した後の、素晴らしい継続性を約束してくれる機会と意気込んでいた」と語ったマグナス。

「その後、RCIBのジョフロワ・テュニスからWTCR参戦の可能性について話があったけれど、僕個人はそれが本当に実現するかどうか、確信が持てないでいたんだ」

ジル・マグナス(中央)は、2019年のTCRヨーロッパでは、地元のスパ・フランコルシャンで勝利を挙げている

「でも数日前、彼から電話が入って『すべての手続きが完了した、我々はWTCRに参戦する』と教えてくれたんだ。本当に夢が叶ったよ」

 そのテュニスによれば、このプログラムは9月のオーストリアから開幕する2020年WTCR改訂版カレンダーがドイツ、スロバキア、ハンガリー、スペイン、イタリアと、ヨーロッパ域内限定での開催に変更されたことで、RCIBとしてのプログラムを切り替えることが可能になったと説明する。

「この新しいカレンダーは、我々がWTCRの列車に乗り出す最適な機会を提供してくれた。我々はComtoyouやAudi Sportと協力して彼のプログラムを構築し、WTCRグリッドにジルを送り込もうと考えたんだ」と続けるテュニス。

「彼は非常に才能に溢れ、昨年のTCRヨーロッパではその能力を遺憾なく発揮し、次世代を代表する“ヤングガン”のひとりであることを証明した。ジルはWTCRにチャレンジする準備が整っており、とくにこの新しい“ルーキードライバー・アワード”獲得を狙うことができる。それを勝ち獲ることが目標であり、WTCR挑戦を決めたおもな動機でもあるんだ」

 2019年のTCRヨーロッパ・シリーズではドライバーズランキング6位を記録したマグナスは、現在開催中の仮想選手権『TCR Europe SIM Racing』でも、ダニエル・ナジーやベンス・ボルディズに次ぐランク3位につけている。

「僕はいつでも自分自身を律してきたし、あらゆることに対して準備を怠らないようにしてきた。TCRでの経験は1年しかないけれど、自分自身を本当に素早く適応させられたと思っている」と、自信を口にしたマグナス。

「WTCRは特別なシリーズだし、この新しい、さらに高いレベルでも自分自身を迅速に順応させて、いくつかの良い結果を出せることを願っている。世界戦のレベルは手強いと思うがベストを尽くすつもりだ」

トム・コロネル、ナサニエル・ベルトンのチームメイトとしてアウディRS3 LMSのステアリングを握る

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