「通いたい」の声、3密回避に知恵絞る 長崎の音楽、ダンス教室

オンラインレッスンで、譜面台に置いたスマートフォンを使って隣室の講師とやりとりをする生徒=長崎市川口町、アノミュージックハウス

 コロナ禍は県内の音楽、ダンスなど習い事教室にも影響を及ぼしている。企業や個人が運営する教室は、同ウイルス特措法に基づく県の休業要請を受け一時休業していたが、5月6日の要請解除後、多くが営業を再開。衛生面やソーシャルディスタンス(社会的距離)に配慮しながらレッスンを行っている。3密(密閉、密集、密接)回避を徹底するためインターネットを使ったオンラインレッスンを導入する教室もある。

 ◆まず手を消毒

 5月下旬に営業を再開した長崎市葉山1丁目のヤマハ音楽教室長崎北センター(多々納(たたの)素子長崎店店長代行)。「まず手をきれいにしましょう」。電子オルガンのグループレッスンで、マスクを着用した幼児らに講師が声を掛ける。手に消毒液を吹き付け、個々に距離を取って教室に入った。
 この日は25平方メートルの部屋に講師1人と幼児5人の計6人が入室。以前は保護者が教室内でレッスンを参観していたが、現在は感染予防のため参観できない。レッスンに使う電子オルガンや椅子も間隔を空けて配置し、子ども同士が接近しないように配慮している。
 多々納店長代行は「休業で高齢者を中心に生徒が減ったが、教室に通いたいという子どもたちの要望は多い。今後は感染予防策を施した演奏発表の場をつくりたい」と語る。

 ◆教室間を結ぶ

 同市川口町の「アノミュージックハウス」(阿野裕行代表)は、3密回避の徹底のため、5月から教室間をネットで結ぶオンラインレッスンを導入している。
 1室に講師1人、別の1室に生徒1人がそれぞれ入室。合奏ソフト「NETDUETTO(ネットデュエット)」をインストールしたパソコンを使い、講師の伴奏に合わせて別室の生徒が歌ったり楽器でアンサンブルができたりするシステムを構築した。互いの顔を見ながらコミュニケーションを取る手法としてビデオ通話アプリ「フェイスタイム」などを併用している。
 直接指導と比べて演奏の細かいニュアンスなどは指導しにくい面があるとされるが、鍵盤ハーモニカのオンラインレッスンを受けた生徒の寺島静香さん(49)は「最初は違和感があったが、慣れてくると講師が隣にいるのと遜色なく指導が受けられた」と話した。
 この「ネットデュエット」を開発したのはヤマハだが、県内にある同社の音楽教室ではオンラインレッスンを導入していない。ヤマハ音楽振興会教室運営統括部の佐藤健一郎さん(53)は「オンラインレッスンができる環境を、全国に展開する教室全てに整備するにはコストがかかる」とした上で、「コロナの感染状況次第では導入を検討しなければならないだろう」と話す。

 ◆振り付け配信

 県内5カ所でダンス教室を展開する「リボン ダンススクール」(本校・同市幸町、小金丸知華代表)は、ヒップホップダンスなどの振り付けを自宅で学べるレッスン動画を4月から同教室ホームページで販売。5月には、生徒同士の間隔を空けてレッスンも再開した。
 動画はインストラクターのダンスをスクール内のスタジオで撮影し、振り付けの解説を加えるなど編集。初級から上級向けまで約40本を配信しており、生徒がレベルに応じてパソコンやスマートフォンにダウンロードする仕組み。小金丸代表(39)は「自宅にいながらレッスンを受けられると生徒に好評。コロナ収束後も動画配信を続けたい」と話す。

動画撮影用にダンスを踊る小金丸代表=長崎市幸町、リボン ダンススクール

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