“能の祈り コロナ禍の世界へ” 観世銕之丞氏、野村萬斎氏ら 兵庫・加西市で

©株式会社ラジオ関西

能と狂言の公演「希望と祈りを込めて~加西市から世界へ」が7月19日、兵庫県加西市の市役所玄関前特設会場で開かれる。加西市能・狂言プロジェクト特別顧問の観世銕之丞(てつのじょう)さん、狂言師の野村萬斎さんのほか加西市こども狂言塾のメンバーも出演して練習の成果を披露する。公演はインターネットで中継される。

奈良時代の地誌「播磨国風土記」ゆかりの加西市は2014年、播磨の小学生を対象にこども狂言塾を開講。播磨国風土記編さん1300年に当たる2015年から毎年、風土記に登場する悲恋物語「根日女(ねひめ)伝承」に基づく新作狂言を上演してきた。今の塾生29人も月に2、3回、萬斎さんが所属する「万作の会」の指導を受けて練習に励んできたが、5月4日に予定されていた恒例の加西能がコロナ禍で中止になり、発表の機会を失っていた。

第4回加西能で新作狂言「根日女」を演じる加西市こども狂言塾のメンバー=加西市民会館(2019年5月)(加西市提供)

自粛ムードの世の中で、あえて開催に踏み切った理由の一つは練習を重ねてきた塾生たちに発表の場を与えたいという関係者の思い。もう一つは「能の原点は安穏や豊穣を願う、希望と祈りの場である」という考え方だ。6月27日の記者発表で、西村和平市長は「(コロナ禍の)こういう状況だからこそ、希望と祈りを世界に発信したい」と語った。

6月27日の記者発表で「芸能は祈りから始まる。心に力を与えることが本来の芸能の役割」と語る観世銕之丞さん。左は西村和平・加西市長=加西市健康福祉会館

記者発表の後、銕之丞さんは塾生の練習を見守り、「言葉はゆっくりと、はっきりと。思い切ってやってほしい。それが後輩につながり、加西の歴史をつくる」と励ました。

7月19日の上演に向け、練習に励む加西市こども狂言塾のメンバー=加西市健康福祉会館

公演は午後4時から始まり、5時40分に終わる予定。銕之丞さんの「神歌」、萬斎さんの狂言「柿山伏」に続き、加西市こども狂言塾が萬斎さん監修の新作狂言「根日女」を演じる。観覧は加西市民100人に限られるが、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」の加西市公式チャンネルでライブ配信される。