コロナ相場の成功で「天才」と勘違い、調子に乗った人の辿る道

米国株式市場では引き続きナスダック指数が史上最高値を更新するなど堅調です。日本市場でも上値は重いとは言え、大きく下落するということでもなく、3月、4月に新たに参加した投資家なども大きく利益を出した人も多いと思われます。


自分には投資の才能がある?

大きく利益を出した後の失敗というものがあります。原因の一つは、相場というものを軽く見てしまうことです。株式投資を始めた頃、「自分の取引を誰か(というみんな)が見ているのではないか」と多くの人が感じます。

よくあるのは、自分が買った途端に高値になったとき。「自分が買ったのを見て、みんなが売りにきたんだ!」という気になります。さらに、買うと下がり、売ると上がるということを繰り返すともう大変。「これは絶対に意地悪されているんだ」と思うでしょう。

もちろん、誰も人の取引を見ることはできませんし、株式市場の参加者で特定の人を狙い撃ちにするということは不可能です。ただ、そういう気分になってしまうのです。

利益が出た後は

そうした失敗を繰り返すと、高値を買い上がるということを控えるようになります。少なくとも買い方は慎重になり、その後は高値で買ってしまうという失敗はしなくなるものです。

逆にやっかいなのは、株式投資でうまく利益が出ている場合。「相場」というものを考えず、「自分が買うと株価が上昇する」というような勘違いをするケースです。

何を買っても自分が買うと株が上昇するものだから、自分は投資の天才ではないかとさえ思ってしまいます。そうすると先ほどの例のように、慎重に買うということをしなくなり、とりあえず上昇している銘柄についていけば良い、という安直な考えをしてしまうのです。

調子に乗ると失敗する

特に調子に乗りやすいタイプの人は、しっかりと利益が出ている時こそ慎重に行くことを心掛けると良いと思います。自分は投資の天才だと思っているので、特に勉強もせず、分析もしないからです。

人は、損をしているときには「なぜ損をしたか」ということ考えるものです。当然、利益が出ているときにも、「なぜ利益を出すことができたのか?」をしっかりと分析することが必要です。もちろん、利益を出したもの勝ちという面もありますが、単純に「ラッキーだったから」という理由で利益を出すことも多いのです。

話はそれますが、ずっと昔から、相場の世界では「ゲンを担ぐ」とか「神頼みと」というものがよくあります。「春日大社のお告げ」などとまことしやかに言われ、「ネズミ年は・・・」などを言う人も多いのです。もちろん、統計上利益を出しやすい場面もあるのですが、単純な「神頼み」もよくあるのが、この世界の特徴です。

私が経験した手痛い失敗

話を戻しますが、株式投資を始めて連戦連勝すると、「さあ次は何を買おうか」と楽しみになってきます。そして、その株がまた上昇すると、「自分には才能がある」「天才ではないか」と思ってしまいます。もちろん、筆者も自分で天才ではないかと思ったことが何度もありました。しかし、そう思った時にこそ、大きな間違いをしてしまうのです。

例えば、自分が思った通りに株価の上昇が続き、まだ上昇が続くと予想する場合、少し株価が下がったところは「買い場」と考えてしまうケースがあります。自分は天才なのだから、1,000円で買った株が800円まで下落しても、「そのうちすぐに1,200円まで上昇する」と思い込みます。その後、600円まで下がってもまだ上がると信じてしまいます。

ここで大事なのは、1,000円だった株価が800円まで下がった理由をしっかり分析することです。それをせず、漠然と「上昇するはず」と思い込むと、大きな痛手を負います。

さらに、自分では1,500円まで上昇するはずだと思い込んでしまうケースもあります。現在の株価が高値で1,200円だったとしても、1,500円まで上昇すれば大きな利益になると思い、高値掴みをしてしまいます。その後下落したとしても、損失を確定できずに「塩漬け」となってしまうのです。

お勧めしたい失敗予防法

こうした失敗をしないために、どうすればよいのでしょうか。一つの方法として、株を買う前になぜこの株が上昇すると思うのか、どこまで上昇すると思うのかを記録しておくことです。そして利益になっても損失になっても、「なぜ利益を出せたのか」「なぜ損失になったのか」の理由を、自分なりに考え、書き留めておくことをお勧めします。

面倒くさいようですが、こういう習慣をつけると、決して自分が天才だから利益が出せたわけではないということが、よくわかると思います。

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