経路解明「非常に難しい」 長崎大学病院患者のコロナ感染 230人陰性、1人再検査 

長崎大学病院に入院していた男性の感染を受け会見する泉川教授(右)=長崎市坂本1丁目、長崎大医学部良順会館

 長崎大学病院(長崎市)の消化器内科の個室に入院していた60代男性患者の新型コロナウイルス感染を受け、同病院は9日、濃厚接触の家族1人のほか、接触があったとみられる職員や入院患者ら計231人にPCR検査を実施し、230人の陰性を確認したと発表した。職員1人は再検査し、結果は10日判明する。男性は無症状で、長崎市と合同記者会見した病院側は感染経路の解明について「全く症状がないと誰が(ウイルスを)持っているか分からない。非常に難しい」との認識を示した。
 県内の感染者確認はクルーズ船コスタ・アトランチカの集団感染を除いて19人目。同市では3人目。
 同病院によると、男性は6月中旬に入院。今月1、2日に市内の自宅に外泊した。その際は家族が自家用車で送迎し、自宅以外には出掛けてない。3日夜から4日まで38度以上の熱が出たが、せきなどの症状はない。県内の別の医療機関に転院するため8日にPCR検査を受けて陽性が判明。3日に感染が確認された同病院の実習生と直接的な接触はなかったという。
 接触者らの検査は8日に97人、9日に134人に実施。同病院は検査対象者全員の陰性を確認するまで消化器内科の新規入院と外来診療、内視鏡検査を中止。同科病棟に入院中の患者への家族の面会も禁止する。
 男性はリハビリを受けており、接触があった医療従事者ら11人は自宅待機とし、陰性を確認した職員、入院患者を含めPCR検査を継続して経過観察する。
 感染症対策に力を入れている同病院は、実習中の20代男子学生の感染を受け、入院患者が転院する際にPCR検査をする運用を8日に始めたばかりだった。
 感染制御教育センター長の泉川公一教授は「短い間に2人の感染者が出たことは非常に残念。コロナを疑う症状がない人なので、ともすれば擦り抜けていった可能性もある。非常に対応が難しい」と述べた。
 院内感染と入院前から感染していた可能性について「いずれも否定できない」との認識を示した。
 一方、同市は9日、同病院で実習中に感染が確認された学生が立ち寄った市内の複数店舗の利用客、店員計39人にPCR検査を実施し、全員の陰性を確認したと発表した。

 


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