「早めに巻き返さないと…」5位転落の鷹に元コーチが指摘する復調のポイントは

ソフトバンク・工藤監督【写真:藤浦一都】

12球団断トツの四球数に「向かっていく姿勢を見せてほしい」

■楽天 9-1 ソフトバンク(9日・PayPayドーム)

3年連続日本一のソフトバンクが苦しんでいる。9日に本拠地PayPayドームで行われた楽天戦でも1-9の大敗を喫し、今季通算7勝10敗の“借金3”で5位に転落した。現役時代はヤクルトなどで名外野手として活躍し、昨年までソフトバンクで5年間コーチを務めた飯田哲也氏は「今季は早めに巻き返さないと手遅れになる」「中継ぎ投手陣の整備が急務」と警鐘を鳴らした。

若鷹打線はこの日も火を吹かず、楽天の先発・塩見ら3投手のリレーの前に6安打1得点に終わった。内川、中村晃が不振や故障、体調不良などで開幕2軍スタートとなり、開幕後4番に座ることもあった長谷川は故障で抹消された。決してスラッガータイプではない36歳の川島が5番を打っているところに、台所事情の苦しさが表れている。

飯田氏は「現状は3番・柳田と4番・バレンティンに頼り切り。本来、松田宣、明石はもっとできるはずですが、元気がない。奮起を期待したいですね。特に松田宣は、このメンバーであれば5番を打たなければいけない」と指摘する。昨季まで2年連続30本塁打以上の松田宣は、打率.162、本塁打0の不振。7番・三塁でスタメン出場したこの日も、7回の第3打席で中越え三塁打を放ったが、相手中堅手・小郷が落下地点に入りながら取り切れなかったもので、松田宣自身もしきりに首をひねっていた。

飯田氏は「中村晃は2軍の試合には出てヒットも打っているので、そろそろ上がってくると思います。とはいえ、コロナ禍でシーズンが短縮された今季は120試合しかない。前半で上位に離されると手遅れになりかねません」と心配する。

「8回を担うモイネロ、9回の守護神・森までつなげば、なんとかしのげる」

ソフトバンクはここ2年、レギュラーシーズンで2位に甘んじながら、クライマックスシリーズ(CS)で優勝チームの西武を破り、最終的に日本一にこぎつけている。しかし現状では、1位と2位のみで行われる今年のCSには進出すらおぼつかない。

飯田氏が、若鷹軍団が巻き返しを図る上で打線以上に鍵を握ると見ているのが「中継ぎ投手陣の整備」。ここでも、昨季65試合に登板した甲斐野が春季キャンプ中に右肘靭帯の一部損傷が判明して出遅れ、開幕時点でセットアッパーと目されていた岩嵜が不振で抹消されるなど、人材難が顕著となっている。

この日、4点ビハインドの6回2死一、二塁では、鈴木に対するワンポイントとして起用された左腕・川原がストレートの四球を与えて降板。あとをうけたドラフト3位の津森も、ブラッシュに押し出し四球を与えた上、浅村、島内に連続タイムリーを浴びた。

「8回を担うモイネロ、9回の守護神・森までつなげば、なんとかしのげる。問題は先発が早めに崩れた場合、いかに試合を壊さずにそこまでつなげるかです」と飯田氏。「現状では経験不足の投手が多いけれど、彼らにとってはまたとないチャンスといえる。四球が多いのは寂しい限りで、打者に向かっていく姿勢を見せてほしいですよ」と奮起を促す。

ソフトバンク投手陣の与四球はこの日の7を加え、12球団で断トツの88に上る。ケガ人などが続出しパワーダウンが否めない顔ぶれだが、それでも今いる選手が踏ん張る以外に浮上の道はない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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