今年10月に改正される酒類の税率。今後、大幅な変動が予定されているって本当?

©株式会社ブレイク・フィールド社

ビールの種類と定義

ビールといっても、「発泡酒」や「新ジャンル(第3のビール)」と呼ばれる種類を含めて大きく3つに分類されます。2018年4月1日の酒税法改正で、これら「ビール系飲料」の定義が変更されましたが、「ビール」と呼べる条件は次の図のとおり緩和されました。

ビールと発泡酒の定義が変更され、ビールは麦芽使用率の下限が50%に下がり、使用できる副原料の範囲が広がりました。

これにより、特色あるビールが多い小規模醸造の「クラフトビール」や海外ビールの一部では、発泡酒からビールへと酒税法上の区分が変更されることになりました。なお、追加された副原料は以下のとおりです。

なお、食品の品質管理に関する世界最古の法律は、1516年にバイエルン公ウィルヘルム4世が制定した「ビール純粋令」と言われています。

原文は「ビールは、麦芽・ホップ・水のみを原料とする」とあり、これは日本の酒税法の主原料と同じで、現在もドイツ国内で生産される一部のビールに適用されている現役の法律です。かたや多様な副原料で造るビールと共存しているのですね。今度、ビール缶のラベルをよく読んでみてください。

酒税と今後の税率改正計画

ビール系飲料の定義が見直されてから1年半、今年の10月から令和8年(2026年)10月までの段階を経て、税率が改正されます。

向こう6年にわたり、3度の改正を経て令和8年(2026年)10月にビール系飲料の酒税は同率となります。

ほかの酒類はどうでしょうか。清酒の税率は現在、1キロリットルあたり12万円ですが、令和8年10月には最終的に10万円に下がる予定です。

同様に、果実酒(ワイン等)の税率は現在の1キロリットルあたり8万円から最終的に10万円に上がります。なお、ウイスキーやブランデーの税率は現在、アルコール度数21度未満が1キロリットルあたり20万円、38度未満が37万円ですが、こちらは税率改正を予定していません。

増税になるもの、減税となるもの、さまざまですが、改正後の税率の変動はビール系飲料が最も大きいといえます。

小売価格に占める税率の比較と今後の推移

では、もう少し身近な金額に照らして比較してみましょう。総務省統計局の発表した、本年2月のビール系飲料の東京都区部での小売価格を見てみると、現在の税率はビールで小売価格の約40%を占めており、新ジャンルの約25%とは差があります。

酒税法改正が最終段階となる6年後には同じ税率になるので、ビールと新ジャンルは350ミリリットルで50円近く差を縮めます。実際の小売価格が同様に近づくかどうか分かりませんが、200円以下の商品で50円税額の差が縮まるのは大きいですね。

まとめ

酒税収入の国税に占める割合は、ここ40年ほどの間に5%から約2%に下がっています。若者のビール離れも昨今メディアに取り上げられていますが、今回の酒税法改正は、各ジャンルのビールの人気と売り上げにどのような影響を及ぼすのでしょうか。

「ビール」が少しでも求めやすくなるのが朗報の方がいれば、安い新ジャンルの銘柄が好きだったのに、という方もいると思います。この夏、自分の嗜好と家計に思いを巡らせながら、杯を傾けてはいかがでしょうか。

<出典>
※1 国税庁 平成29年4月「酒税法等の改正のあらまし」
※2 財務省 平成29年度税制改正における「酒税法等の改正」
※3 総務省統計局 「主要品目の東京都区部2020年2月小売価格」

執筆者:伊藤秀雄
CFP(R)認定者、ファイナンシャルプランナー技能士1級、第1種証券外務員、終活アドバイザー協会会員、相続アドバイザー