8年後は無料? どうなる川平有料道路 県の判断は

約8年後に建設費償還が終わる川平有料道路。右奥は女の都トンネル=長崎市川平町

 西彼時津町周辺から長崎自動車道、長崎市内西山方面への最短ルートとして、多くの県民が利用している川平有料道路(延長4.7キロ)。計画では通行料でまかなっている建設費の償還が2028年に終わり、その後は原則として無料化される見込みだ。利用者にとっては朗報だが、トンネルや橋梁(きょうりょう)の維持管理費で県の財政負担は増す。これまでも県議会でたびたび取り上げられてきたが、県道路建設課は「今後の社会情勢の変化や沿線周辺地域の状況を見極めながら検討する」と歯切れが悪い。
 川平有料道路は国道206号の時津町井手園交差点と、長崎バイパスの川平インターを結ぶ自動車専用道路。延長4.7キロのうち約2.2キロは計5本のトンネル区間で占める。1990年に供用開始され、2008年10月から自動料金収受システム(ETC)での通行が可能となった。建設費約178億円は同道路を管理する県道路公社の借入金でまかなっており、通行料金で償還する仕組みとなっている。
 通行料は軽自動車等160円(ETC通行120円)、普通車210円(同150円)など。県民からは通行料が「高い」という声もあるが、昨年度の1日当たりの交通量は約1万7千台に上る。これは同公社が管理する西海パールライン有料道路、ながさき出島道路、ながさき女神大橋道路(いずれも約8千台)を大きく上回る。
 昨年度の料金収入は約9億円。このうち維持管理費などを除き約4億8千万円を償還に充てた。これまでに約120億円を償還しており、未償還金は約58億円。同公社は「償還が終われば原則は無料化だが、年度によって変動する施設の維持管理費がどうなるか。トンネルと橋梁はコストがかかる」と説明する。
 なかなか方針を示さない県に対し、県議会6月定例会で自民・県民会議の山口経正県議=西彼杵郡区、2期目=は「受益者負担で有料を継続するのも一つの案ではないか」と提案。長崎バイパス方面への出入りしかできない「女の都ランプ」と「長与ランプ」の双方向化など持論を展開した。しかし、同公社は「料金所を設置する場所が必要となり、構造的にも難しい。今よりも通行料が高くなる可能性もある」と難色を示す。
 中村法道知事は「しかるべき段階で判断しなければならない」と答弁したものの、原則無料化は約8年後に迫る。無料化か、それとも有料継続か-。今後の県の判断に注目が集まる。

© 株式会社長崎新聞社