「実名と被害者報道」特集、 「月刊Journalism」7月号発売

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2020年7月10日発売の「月刊Journalism」(朝日新聞社刊)の7月号が「実名と被害者報道」を特集している。

画像は「月刊Journalism」(朝日新聞社刊)

神奈川県相模原市の障害者施設で19人の入所者の命が奪われた事件は、元職員の死刑判決が確定した。戦後最大級の凶悪事件にもかかわらず警察は19人の実名を発表せず、裁判も1人を除いて匿名のまま進められた。

この事件に強い関心を持つ熊谷晋一郎・東大准教授は「差別から逃れるためには匿名が必要だが、差別に挑戦する唯一の方法は実名の公表」と提言。事件に発生時からかかわり、特設サイトも立ち上げた松井裕子・NHK横浜放送局副部長は、犠牲者の素顔を伝える難しさと意義を訴えている。

元共同通信記者の澤康臣・専修大教授は、実名報道が当たり前の米国と比べ、説明のつかない匿名が増えている日本メディアに警鐘を鳴らしている。英国在住ジャーナリストの小林恭子さんは英国でのコロナ報道について、感染者の実名・顔出し報道が危機意識の共有に役立ったと報告。慶応大の鈴木秀美教授は、被害者の実名報道に抑制的なプレスコードが設けられているドイツの現状を紹介。東大大学院の林香里教授はメディアが主張する「原則実名」に疑問を投げかけつつ、メディア側には正当な理由と信頼できる記者を求めている。

「月刊Journalism」は08年10月創刊。朝日新聞社以外のメディアのジャーナリストも寄稿しているのが特徴。「日米安保60年」(5月号)、「自粛列島」(6月号)など、さまざまな政治経済社会問題にジャーナリズムの視点からアプローチしている。

発行母体となっている「朝日新聞社ジャーナリスト学校」は06年に発足。入社1、2、3年目の若手記者向けの研修を中心に、中堅やベテランの記者にも「学ぶ場」を提供している。自治体財政、医療といったテーマ別研修も開き、他のメディアにも参加を呼びかけている。

  • 書名:月刊Journalism
  • 出版社名: 朝日新聞社
  • 出版年月日: 2020年7月10日
  • 定価: 815円(税込み)
  • ISBN: 9784022811417

(BOOKウォッチ編集部)