荻原博子語る「給与ファクタリング」の怖さ、実態は“ヤミ金”

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「いますぐ現金が必要」という切羽詰まった方に、「給与ファクタリング」の利用が増えている。ファクタリングは企業の商取引で普及している手法で、入金待ちの請求書など売掛債権を、業者に買い取ってもらうこと。企業はすぐに現金が手に入るものの、比較的高めの手数料が差し引かれる。これは違法ではないが、個人の給料に転用した給与ファクタリングは、大問題だという。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。

■実態は“ヤミ金”で“法外な高利貸”!

給与ファクタリングを具体的に見ていきましょう。

Aさんは月末に給料10万円が入る予定ですが、月半ばで生活費が底をつきました。そこで、給与ファクタリング業者に、10万円の給料を受け取る権利(債券)を売却。現金はすぐ手に入りましたが、Aさんが受け取ったのは8万円。差額の2万円は手数料として差し引かれていました。

Aさんは10万円の債権に対して2万円、つまり20%の手数料を払ったことになります。国民生活センターには、12万円の給与債権を売却して、受け取ったのは7万円。つまり、40%を超える5万円も手数料として取られたという相談もあります。

しかも、給料が入ったらすぐ返済するのですから、この手数料は1カ月間分。年に換算すると、Aさんの場合は240%、相談事例のケースでは、実に年480%です。高利といわれるカードローンでも年利率は20%が上限ですから、尋常ではない高さなのです。

ただファクタリング業者は「ファクタリングはあくまでも債権の買い取りで、もらうのは利息ではなく手数料」と主張してきました。しかし、金融庁は’20年3月に「貸金業」と認定し「バカ高い利率は違法」と判断したのです。

ですが、手数料が高いとわかっているのに、なぜ、利用する人が増えているのでしょう。

1つは、月単位で書かれた手数料を年利率に換算せず、法外だとは気づかないのかもしれません。

もう1つは、ファクタリング業者は貸金業でないとして、ブラックリストに載っていて貸金業者から借金できない方にも、お金を融通するからです。国民生活センターには、多重債務で新たな借り入れができない方が「ブラックもOK」という広告を見て申し込んだという相談も寄せられています。

債権の買い取りなどと言い方を変えたところで、金融庁の言うとおり、給与ファクタリングは借金です。しかも、法外な高利貸ですから、ヤミ金融業者、いわゆるヤミ金の仕業です。絶対に手を出してはいけません。

コロナ禍で給与が激減した方もいるでしょう。生活保護の申請も、今年4月は前年より約25%も増加しています(厚生労働省)。

給与ファクタリングでは、悪質な取り立てを受ける被害もありますし、「今月だけ、1回だけ」と手を出してずるずると借金地獄に陥る危険性も高いです。1人でなんとかしようと違法な借金に手を出す前に、自治体の相談窓口などを利用してください。

「女性自身」2020年7月21日号 掲載