スパイなのに色気むんむん目立ちすぎ! やっぱりボンドは初代ショーン・コネリーが最高!『007』シリーズ

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『007』シリーズを語る切り口は山ほどある。なんせ半世紀も続く人気フランチャイズだ。主演俳優が変わっても、興行的に失敗しても、そのたびごとにサバイブしてきた。結局みんな、それだけボンドが好きということだろう。だから10人いれば10人違う意見があり、それがまたこのシリーズを観る上での楽しみにもなっている。というわけで、ここでは勝手に筆者の琴線に触れるテーマを連載させて頂くことにする。

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Sean Connery in a publicity still for DR. NO (1962).

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世を忍ぶスパイなのにフェロモンむんむん、目立ちすぎ!

第一回は、初代ボンド、ショーン・コネリーが定着させた“プレイボーイ像”について。そもそも原作では、ジェームズ・ボンドはどちらかというと地味で堅実なエージェントだ。エージェントなのだからむろん派手ではまずいし、黙っていても女が寄ってくるようなフェロモンむんむんでは、目立ちすぎるのは頷ける。だが、そんなリアル路線を無視して強力なキャラクターを作りあげたのが、コネリーの快挙でもある。男らしく、逞しく、けれどユーモアがあって女性の扱いも心得ている。正統的ハンサムではないのに、そこにいるだけで女性が群がる。

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DIAMONDS ARE FOREVER, Sean’s last outing in an official EON James Bond film, was released today in the UK in 1971. Sean poses against the bright lights of Las Vegas, a key location for the film. #JamesBond #007 #SeanConnery #DiamondsAreForever

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原作者のイアン・フレミングは当初、スコットランド人で英国紳士然としていないコネリーに不服だったらしいが、一作目の『007/ドクター・ノオ』(1962年)を観て態度を改めたという。結局コネリーは『007は二度死ぬ』(1967年)まで5作続投。その後『女王陛下の007』(1969年)でジョージ・レーゼンビーにバトンタッチするも、評判が悪かったため、プロデューサーのたっての希望で『ダイヤモンドは永遠に』(1971年)にカムバックしたほど。堅物なレーゼンビーの方が原作のイメージに近いものの、もはやコネリー版ボンドの印象が付いてしまったがゆえに不利だった。

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shooting began on Bambi (Lola Larson) and Thumper’s (Trina Parks) fight with Bond (Sean Connery) in DIAMONDS ARE FOREVER. The assassins were originally conceived as men, however director Guy Hamilton changed his mind after watching the US tumbling team. He said: “I thought ‘I bet one of these girls flip-flopping would kick Bond before he knew what had hit him, and being a gentleman he’d be rather surprised’.”

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コネリー・ボンドは愛嬌たっぷり! 美女とのユーモラスな絡みで検閲もパス!?

ボンドガールもコネリー時代は、典型的なグラマラス美女が多い。とくに初代のウルスラ・アンドレスは、いまも最高のボンドガールと評する人が少なくない。実際、白いビキニ姿で海から上がってくる彼女のシーンは、その完璧なプロポーションとともに鮮烈な印象を残し、ボンドガールの存在を決定づけた。彼女の功績により、ボンドガールがシリーズ化されたと言っても過言ではあるまい。

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Today is Ursula Andress’ birthday! Ursula played beachcomber Honey Ryder in DR. NO (1962). Leave your birthday wishes below…

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アンドレスに続くダニエラ・ビアンキ(『007/ロシアより愛をこめて』[1963年])とオナー・ブラックマン(『007/ゴールドフィンガー』[1964年])も、ともにブロンド、グラマラスな大人の女性。これはいかにも時代を反映した美女のカテゴリーだ。これが4作目、『007/サンダーボール作戦』(1965年)になると、フランス人のクローディーヌ・オージェが抜擢され、もう少しコケットな雰囲気がある。そして日本が舞台の『007は二度死ぬ』(1967年)は、若林映子と浜美枝がボンドガールに扮し、一転初々しい魅力を発揮している。時代性ゆえ、今観るとかなり素っ頓狂な場面もあるが、浴衣姿や庭師姿を披露するコネリーの愛嬌に免じて許したくなる。

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in YOU ONLY LIVE TWICE (1967). Associate producer William Cartlidge said: “I remember script conferences where the idea was to think of as many outrageous suggestions as you could and this was one of them.”

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もちろんアクションシーンでもコネリーは完璧だが、美女たちとの絡みとなると、映画にユーモラスなB級的な匂いがもたらされるのが面白い。これは初期3作品を監督したテレンス・ヤングの功績だ。『ドクター・ノオ』について彼は、「セックス、ヴァイオレンスの要素が多いこの映画は、シリアスに撮ったら不快なものになるか、検閲をパスしないだろう」と語り、ユーモアを注入した。結果、独特のボンド・カラーが出来あがったというわけ。

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Today is Sir Sean Connery’s birthday! Sir Sean played James Bond in six official 007 films starting with DR. NO in 1962. Leave your best wishes below… #SeanConnery #JamesBond #007

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これはガイ・ハミルトン監督の『ゴールドフィンガー』も同様で、シャーリー・イートン扮するボンドガールが体中に金粉を塗られてベッドで死んでいる場面など、エロスと衝撃が交ざり合い、一度観たら忘れられない光景である。

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Make-up artist Paul Robiger applies gold paint to Shirley Eaton for GOLDFINGER (1964). The process took around 90 minutes. #BTS #JamesBond #007

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あの名シーンが蘇る! コッテリ主題歌も人気絶大のコネリー版『007』

主題歌もコネリー時代は人気が高い。まず大抵のランキングでボンドソングのベスト5に入るのが、シャーリー・バッシーの「ゴールドフィンガー」だ(筆者的にはベスト1)。バッシーの艶やかな低音で「ゴ~ルドフィンガ~♪」と始まると、なにやらもうそれだけで怪しくぞくぞくしてくる。金粉ボンドガールと相まって、この作品の雰囲気にぴったり。バッシーはこれで当てて、その後も「ダイヤモンドは永遠に」「ムーンレイカー」と、なんと3度も主題歌を担当している。

選には漏れがちだが、いかにもこの時代らしい切ないラブソングである、マット・モンローが歌う「ロシアより愛をこめて」や、ジョン・バリーが日本を意識してオリエンタル調のアレンジを取り入れた、ナンシー・シナトラの「007は二度死ぬ」、そしてトム・ジョーンズが朗々と歌い上げる「サンダーボール」も秀逸。まさに主題歌までも作風に合った名曲ばかりなのが、本シリーズの素晴らしいところでもある。

文:佐藤久理子

『007』シリーズはCS映画専門チャンネル ムービープラスで2020年7月ほか放送

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