長崎・医師過労死訴訟は和解 病院側が遺族に謝罪

 2014年、長崎みなとメディカルセンター(長崎市新地町)の勤務医だった男性=当時(33)=が急死し、遺族が病院側に損害賠償などを求めた訴訟で、病院側と遺族が10日、和解した。病院側は同日会見し、過労死と認め謝罪した。
 昨年5月の長崎地裁判決によると、男性は14年4月から心臓血管内科で勤務し、同12月に心臓死。直近1カ月間の残業は159時間だった。同地裁は男性の死と業務の因果関係を認定。敗訴した病院側は判決を不服とし、控訴していた。
 病院側によると今年4月に役員が新体制になったのに伴い、事案を再度精査。安全配慮義務違反だったと結論付けた。遺族に謝罪し、控訴を取り下げ一審判決を全面的に受け入れることで和解に至ったという。遺族側代理人によると、遺族に損害賠償金約2億1500万円を支払う。
 同市立病院機構の片峰茂理事長は会見で「想像を絶する悲しみの中にある遺族に長期間の裁判という困難を強いてしまった」などと陳謝。「(一般的に)医師の使命感に甘え、超過勤務を強いる状況が改善していない」とし、医療従事者の働き方改革を推進する考えを示した。
 男性の妻は「病院は主人が子どもたちと過ごせたはずの時間、主人自身の人生を奪ったことを忘れず、覚悟を持って変わってほしい」とコメントした。

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