F1技術解説 オーストリアGP:2019年型メルセデスF1の影響を受けたレッドブルの新型ノーズ

 地元レッドブルリンクで開催された第1戦オーストリアGPで、レッドブル・ホンダはより丸みを帯びたノーズを投入した。中央上部の吸入口も、ふたつに分かれていない(赤矢印参照)。一方でフロントウイングを支える2本の支柱は、より中央に寄り間隔が狭くなった。

レッドブル・ホンダRB16の新型フロントノーズ:旧型(左)/新型(右)
レッドブル・ホンダRB16の新型フロントノーズ:旧型(下)/新型(上)

 これは明らかに、メルセデスの影響といえるだろう(黄色矢印参照)。さらに支柱自体も、細くなっているのがわかる(青矢印参照)。その結果、前方からの気流はノーズ両側に付けられたケープ状のターニングベインへと、よりスムーズに流れて行く。このケープ自体、メルセデスが昨年のW10で採用したものだ。

 アップデートされたノーズは、開幕戦ではマックス・フェルスタッペンのみが使用した。レッドブルはふたつの新ノーズを持ち込んだが、ひとつはクラッシュでの交換を想定したスペアパーツだった。レッドブルほどのチームでも、レース本番までに2個のパーツを間に合わせるのが精いっぱいだった。というのもあらゆるパーツのうち、ノーズは最も製作に時間がかかるひとつだからである。FIAの定めたクラッシュテストを通過するだけの、十分な剛性が求められるのである。

 ただしアレクサンダー・アルボンもフェルスタッペン同様、リヤタイヤ前方に何枚かのミニウイングが立った新しいフロアは使うことができた。これは開幕戦2週間前、フィルミングデーを活用したシルバーストンのテストで試されていたものだ。

 しかし数々のアップデートにもかかわらず、緒戦のレッドブルはホンダ製パワーユニット(PU/エンジン)の電気系トラブルで、2台全滅の結果に終わってしまった。

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