元気なシニアでいられなくなる前に。考えておきたい自分の介護と財産のこと

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できなくなることは当たり前だと受け入れる

最近の例では、コロナショックを機に、リモートでの飲み会なども増えてきて世の中の仕組みは突然大きく変わっています。こういった変化に若い人は柔軟に対応します。むしろ新しもの好き・好奇心も手伝ってスムーズに浸透します。

でもシニアになると難しくなります。

遠くにいる自分の親が「どうしても昔からなじんだ自宅を離れられない」と言い張るために、遠隔での健康状態や安全管理を監視するシステムを入れたから安心だと思っていたが、いざそのシステムに誤作動が発生したとき、どう対応したらいいかわからなくて警察を呼ぶような大ごとになってしまった、というのはよく聞く話です。

どんなにAI(人工知能)で便利になっても、操作する人間の理解力が低下してしまうと機能させることはできません。さらに厄介なのは、客観的に見て「大丈夫」と判断できることと、本人が「できる」と思っていることの差が大きくなってしまうことです。

年齢を重ねるほどに、「他人に耳を貸さなくなる」と言われますが、これは誰にでもあてはまるといえるでしょう。

他人からのアドバイスが受け入れられなくなる、自分の価値観以外のものを受け入れられなくなる、というのは自然の流れです。これが待ったなしの赤信号になる前に、当然のこととして受け止め、準備をすることが望ましいです。

介護施設を見学しておく

介護施設は、どうしようもならなくなってから慌てて探しても、満足のできる施設にめぐりあうことは極めて難しいです。先週までは何ともなかったのに、転倒した、風邪をひいた、といったちょっとしたきっかけで、症状が急激に悪化することもあります。

繰り返しになりますが、これは悪いことではなく「自然の流れ」なので「避けられない」と割り切りましょう。

ただ、介護保険が適応される施設には、要介護要件などを満たす必要がありますので、絞り込むのは難しいです。ただ元気なうちから一度は見学しておくことをお勧めします。そして一時金や月額利用料、オプションサービスについて確認しましょう。

歳を重ねると、以前は苦にならなかった簡単な調べものもおっくうになります。そうなる前に準備しておくと安心です。

財産を誰に管理してもらうのか決める

そして、自分の資産管理を第三者に託す準備をすることです。いざとなったら「誰に任せるか」をはっきりさせておかなければなりません。遺産のことよりも、自分がまだ存命の間の自分の財産を管理することのほうが重要です。

1つの手段として、任意後見契約があります。信頼できる家族、もし家族がいない場合は福祉法人や法律専門職に、自分の財産の管理を委託するものです。委託の範囲には現金・預貯金・不動産などの資産管理に加えて、生活費の支払いなどが含まれます。

「判断能力が低下する前に」後見人になってもらいたい人と契約を結んでおいて、判断能力が十分ではなくなってからその契約を有効にする仕組みです。判断能力が低下する前に、あらかじめ契約しておかなければならないというところが大事なポイントです。

自分の老いと向き合うのは勇気がいることですが、「誰でも老いていく」ことを受け入れることが第一歩になります。

執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者