「鷹にいないタイプになれる」 専門家が指摘する12年目右腕の可能性とは?

ソフトバンク・二保旭【写真:藤浦一都】

4球団で捕手を務めた野口氏が指摘する、二保の組み立て面での物足りなさ

■ソフトバンク 8-4 楽天(11日・PayPayドーム)

ソフトバンクは11日、本拠地PayPayドームでの楽天戦に8-4で勝ち、2連勝で借金を1に減らした。先発の二保旭投手は、7回4安打4失点で今季初勝利。2回までに4点を奪われながらも、その後は無失点に抑え、打線の援護を呼び込んだ。

ここまで3試合に登板して0勝2敗、防御率8.74と精彩を欠いていた二保。課題の立ち上がりに失点しながら、3回以降はツーシームを有効に使いながらゴロアウトを重ねていった。ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、2018年までヤクルトで2年間バッテリコーチを務めた野球解説者の野口寿浩氏は、投球の組み立て面での物足りなさを指摘する。

「左打者が全然嫌がるそぶりがありませんでしたね。対右打者には内角に食い込んでくるツーシームが効果的な印象はあったが、左打者のケースではカウントが有利な時にインコースのボール球を使えると良かった。もう少しボール球を振らせることもできたと思います」と野口氏。その例として、初回に先頭の茂木栄五郎内野手に三塁打を浴びたシーンを挙げる。

2球で簡単に追い込んだ直後、3球目のフォークを拾われ右中間を真っ二つ。この配球に、野口氏は「フォークはそこまで悪い球じゃなかった。2ストライクからインコースに1球いっていれば、茂木のフォークへの対応もそこまでうまくいかなかったのでは」と分析する。試合を通して内角への速球を使わなかったことで、投球の幅も狭まったとみる。

女房役・甲斐拓也捕手の内角への要求が少なかった点にも触れ「おそらく、左へのインコースを使えるだけのコントロールに信頼が持てていないのではないか」と推察する。あくまで投球のセオリーは「対になるボールがあるか。フォークなら高め。ストレートなら遅いカーブ」。それに当てはめるとツーシームには内角の直球、左右の揺さぶりが不可欠になってくる。

課題は伸びしろ、コントロールがついてきたらローテに欠かせない投手に

ただ、課題はそのまま伸びしろでもあるとみる。「ボール球を使えるコントロールがついてきたら、もっともっと勝てるピッチャーになってくると思います」と野口氏。鷹の先発陣は150キロ超の直球で押してくるタイプの投手がそろっているだけに「真っすぐは140キロそこそこでも球を動かして打ち取っていくという、ソフトバンクにはいないタイプになれる。うまくいけば、ローテーションに欠かせない投手になると思います」と期待した。

一方で、中村晃外野手が復帰した打線は2桁安打で8点を奪ったが「まだまだソフトバンクの打線はこんなもんじゃない」とも。中でも4番バレンティンの不調に触れ「あれだけ投手側に突っ込んでいってたら打てない。『ココ(バレンティンの愛称)、ボールは来るから焦らず待ってスコーンと打ってみろ』と言ってあげたい」と話した。

アルフレド・デスパイネ外野手やジュリスベル・グラシアル内野手ら主力がいまだ不在の中、勝率5割が見えてきた常勝軍団。野口氏も「メンバーが揃ってきたらソフトバンクは走る。ココだってうかうかしてられないかもしれませんね」と語る。投打ともに盤石の体制を整えていく上で、二保の今季初勝利は確かに追い風になったはずだ。

【動画】野球解説者・野口寿浩氏が指摘した場面 ホークス先発の二保が楽天茂木にフォークを拾われ三塁打を浴びたシーン(該当箇所:0分10秒~)

【動画】野球解説者・野口寿浩氏が指摘した場面 ホークス先発の二保が楽天茂木にフォークを拾われ三塁打を浴びたシーン signature

(小西亮 / Ryo Konishi)

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