“全部入り”で500万円以下、新型アコードハイブリッド「想像以上のお買い得度」

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1976年の初代登場以来、時代の変化に合わせ進化してきたグローバルモデル、それがホンダ・アコードです。10代目となる新型は国内ではなく海外生産される“輸入車”ですが、知れば知るほど、このクルマが昨今のプレミアムセグメントの中でも“超”が付くお買い得モデルであることが見えてきました。


実は輸入車です

先代モデルは日本で生産されていたアコード、現在は北米や中国の工場でも生産されています。実は新型は約2年前に海外で発売されていましたが日本では2016年に旧型が内外装を中心に大幅な変更を行ったことでこのモデルの導入自体は遅れる形となりました。

もちろん現在の世界の自動車マーケットではSUVやクロスオーバーモデルが高い人気。セダンは日本のマーケット自体もシュリンク気味で、簡単に「はい、そうですか」と導入するのにはハードルが高かったわけです。

アコード自体は過去、北米で生産されたモデルも輸入して販売していましたが、今回は北米ではなくタイにある「Honda Automobile(Thailand)Co.,Ltd」にあるアユタヤ工場で生産されるれっきとした輸入車です。

正直に言えば「タイ生産」と聞いて一瞬あまり良いイメージは浮かびませんでした。アコードの開発責任者にも正直に気持ちをぶつけて見ましたが、自分の記憶でも過去、フィットの4ドアセダンである「ARIA(アリア)」を導入した際に高い品質でまとめた記憶が蘇りました。

ボディカラーは写真の「プラチナホワイト・パール」を含む5色が設定されます

また2年という時間差も良い意味で日本向けに装備や走りなどの性能向上を行うためにも必要な時間だと考えても良いと感じました。

その点でも偏見があったわけですが、試乗してみて自分の考えが間違っていたことに反省しつつ、クルマをチェックすればするほどその高コスパ、言い換えればハイバリュー(価値)を見いだすことができたわけです。

グレード構成はひとつだけ

まず新型アコードの車両本体価格は465万円(税込)です。さらにグレードは「EX」のみというシンプルな構成です。これ自体は月間わずか300台という控え目な販売目標からもうかがえるのですが、冒頭で述べたように日本市場を考えるとそう多くの台数をましてや輸入するのはリスクが伴います。300台が実力かどうかは今後にもよりますが、モノグレードにすることでコスト自体を抑えるにも寄与します。

まるで「ハロッズ」?装備満載の高級百貨店

そしてこの新型アコードの魅力はこの価格で極めて充実した装備を標準で搭載している点にあります。

NSXなどにも採用されたシフトセレクターをアコード用に改良して搭載します

搭載されている装備に関しては全て書き切れない程ですが、要は同クラスのライバル車と比較した際、いくつかの装備は「メーカーオプション」または「非設定」になっているのに対し、アコードはフル装備状態となっている点です。もちろん前述したようにモノグレードですからそのような細かなオプション設定を日本向けに行うことは効率も悪くなります。しかし結果としてこのクラスの高級セダンに「これでもか!」と思えるほどの装備を搭載したことには驚きしかありません。

少々言い方はオーバーですが「何でも揃う」高級百貨店のようなクルマ、世界で最も売上高が高くブランド力も高いのはイギリスの老舗デパートである「ハロッズ」ですが、新型アコードは装備、快適性、環境性能など「全部手に入る」最近では珍しいクルマとも言えます。

サンルーフ、本革シート何でもあり

とはいえ、そんなに装備が充実しているのか?という疑問もあるでしょう。気になる装備は今回画像のほうにもまとめてありますが、最近設定自体が減少傾向にある「電動サンルーフ」を標準装備化。昨今のエアコンの進化や喫煙者の減少などにより固定式のガラスルーフなどがトレンドのひとつになっていますが、やはり全開にして外気と触れると気持ちが良いものです。また閉めた状態で外光を取り込むだけでも前席の圧迫感は少なくなります。

最近では珍しくなった電動スライディングサンルーフも標準装備します

シートに関しても本革仕様を標準化、さらに前席は運転席8ウェイ、助手席4ウェイの電動調整機構付きです。また助手席にはこのクラスでも最近は少なくなった運転席側からスライドやリクライニングを行えるスイッチが別途付いていた点。後述しますがアコードの後席は本当に広いのですが、海外では人の送迎を行うリムジン的な使われ方もすることで、この機構を搭載しているとホンダの開発担当者の話でした。

また冬場などエアコン(プラズマクラスター付き)の使用を抑え実用燃費を高める工夫として前席だけでなく後席(左右)にもシートヒーターを搭載しています。

時代に合わせた先進装備もフル採用

ホンダが展開するADAS(先進運転支援システム)である「ホンダセンシング」も標準装備されます。昨今求められている安全装備は網羅しており、実際の走行でも渋滞追従機能付きのACC(アダブティプ・クルーズ・コントロール)のスムーズな減速フィールなど“効き具合”も好ましいものです。

先進運転支援システムは充実、ナビゲーション連動のETCユニットも標準装備します

世界で販売されているモデルゆえに安全に求められる基準はさらに厳しい部分があると思います。万が一の衝突時に乗員を保護するためのボディ構造や歩行者保護のためのポップアップフードも標準装備されます。

ナビの通信料金は永年無料

搭載される8インチディスプレイを持つ純正カーナビはテレマティクス対応モデル。同社の「インターナビ」を使うことでVICS以上の渋滞回避能力、また昨今の異常気象による走行不能になった道路の情報なども警告してくれます。このインターナビは専用の通信ユニットが必要になるのですが、この通信料をホンダは「永年無料」としています。もちろん携帯電話の通話などには対応していませんが、他社が3年間無料というプランを出している中、永年というのはかなり太っ腹です。

8インチディスプレイと渋滞回避能力に優れるインターナビ対応のカーナビも標準装備

またこのナビ自体の性能は十分なのに、昨今話題の「Apple CarPlay」や「Android Auto」の最新インフォテインメントシステムへの対応、また携帯電話のQi(チー)準拠のワイヤレス充電器、USB端子も後席充電用に2個付けるなど昨今求められる装備類もしっかり搭載しています。

驚きの静寂の世界を堪能する

実際に一般道から高速道路を含めて今回200km程度走ってきた中で一番印象的だったのは「静粛性の高さ」でした。新型のプラットフォームの採用や2モーターによるハイブリッドシステム「e:HEV」によるエンジンを極力回さずEV領域を使って走れることはもちろんですが、車内騒音を低減させる「ANC」もグレードアップしています。ANCはわかりやすく言えば、昨今人気の「ノイズキャンセリングヘッドホン」と原理は近いものです。これまで車内の音を拾うためにマイクを2つ搭載していたのですが、新型は3個に増やし、さらに細かなチューニングを行うことで元々静かであった室内をさらに快適にするのに役立っています。

標準装備のアルミホイールはタイヤ内部で発生する共鳴音を低減する特殊構造を持ちます

新型になって少し着座位置が低くなったことで乗降性を心配しましたが、そこまでではなく、逆に前方視界も良好でスポーティとはでは言わなくても路面の追従性も高くなっています。

最後に気になる実用燃費ですが、都内での渋滞が約15km位含めても搭載する燃費計の数値はカタログ値である22.8km/L(WLTCモード)とほぼ同じ22.7km/Lでした。参考数値程度ですが、満タンで900km程度は走行が可能です。市街地では特にEV領域をうまく活用すればさらにトータルの燃費も向上できるでしょう。

正直に言えばスポットライトが当たりづらかったアコードですが、購入した人が幸せになれる「通好み」の1台としてもオススメです。