首位・楽天は「負けても強い」 投打で充実の選手層も専門家が指摘する唯一の懸念は

楽天・三木肇監督【写真:荒川祐史】

野球解説者の野口氏は「力が落ちる投手がいない」とブルペン陣を絶賛

■ソフトバンク 8-4 楽天(11日・PayPayドーム)

パ・リーグ首位の楽天は11日、敵地PayPayドームでソフトバンクに4-8で敗れ、今季初の連敗を喫した。先発の岸孝之投手が5回4失点、同点で迎えた終盤には盤石のリリーフ陣が崩れた。ただ、敗戦の中にも“ただでは負けない”攻守の厚みを見せた。

「悲観しなきゃいけないチーム状態に全然ない。負けても強いと思わせるチームですね」。ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、2018年までヤクルトで2年間バッテリコーチを務めた野球解説者の野口寿浩氏は、楽天の充実ぶりを強調する。

まずは投手陣。先発の岸が降板し、迎えた同点の6回には牧田和久投手をマウンドへ。続く7回には、先頭の柳田悠岐外野手に対して左腕の辛島航投手をぶつけた。柳田には四球となったが、バレンティンを打席に迎えたところで、すかさず右腕のJT・シャギワ投手にスイッチ。結果的にシャギワが誤算で勝ち越しを許したものの、野口氏は「出てくるリリーフの中にちょっと力が落ちるなという投手がいない。迷わず使っていける上に、勝ちパターンの投手もまだ残っている」とブルペン陣の強さを挙げる。

打線も大型補強が奏功、唯一弱点になりうる可能性が残るのは先発陣

打線も8回に登板したセットアッパーのリバン・モイネロ投手に対して連打を浴びせ、2死満塁のチャンスを作った。「勝ちパターンが出てきたら『はい終わりです』っていう打線じゃなくなっている。最後まで何があるかわからないというファイティングポーズがとれる」と野口氏。銀次内野手に代わって一塁でスタメン出場した内田靖人内野手が3ランを打つなど、選手層の厚みもある。

オフに大型の戦力補強に踏み切った楽天。その新加入のメンバーたちが期待通りの力を発揮しているだけでなく、「いい融合をしている」と野口氏は見る。浅村栄斗、鈴木大地両内野手の「FA組」、ジャバリ・ブラッシュ、ステフェン・ロメロ両外野手の「助っ人組」、そして茂木栄五郎内野手、島内宏明外野手の「生え抜き組」が混ざり合い、強力な打線を形成している。

攻守で目立った死角が見つからない状況で、野口氏が「唯一、弱点になる可能性がある」と指摘するのは先発陣。現状では枚数が揃っている状況だが、過密日程でローテに無理が生じてくる時期はやってくる。加えて不調や故障など、予期せぬ不測の事態もある。「誰か1人がかけた時に出てくる7番手、8番手があまり見当たらない印象があります」。先発に再転向した松井裕樹投手もこの日の2軍戦で4回8失点と、メドが立っている状況とは言い難い。夏場に向けて選手たちの疲れも溜まってくるだけに、チームの真価が問われる時期が来るかもしれない。(小西亮 / Ryo Konishi)

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