ようやく迎える“売り子”たちの開幕 4年目サキさんが抱く思い「お客様に会いたいです」

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アサヒビールの4年目・サキさん【写真:福谷佑介】

本来の売り子としての活動はできず、売店でビールなどを販売する

【福岡発 売り子名鑑2020】
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で6月19日に開幕を迎えたプロ野球。7月10日には5000人という上限設定はあるものの、各球場で有観客試合が再開された。少しずつではあるものの、野球のある日常が戻りつつある。

ソフトバンクの本拠地PayPayドームでは10日の再開初日は約1500人、11日は約2500人、そして12日は約5000人と段階的に観客数を増やす方策を取った。様々な感染防止策が打ち出される中で、アルコール類の販売は屋外の売店だけに限定し、最初は1箇所だけ、5000人となる12日からは4箇所での販売とされている。

その12日からはスタジアムの華でもある“売り子”たちも稼働を再開させる。スタンドで販売するのではなく、前述の売店に立って販売する形式ではあるが、彼女たちもまた、ようやくスタジアムに戻ってくることができる。昨季までの人気企画「売り子名鑑」の2020年度版ではこの特別なシーズンに臨む売り子たちの思いに迫る。

12日に売店の1箇所で活動を再開させる売り子の1人が、アサヒビールの4年目・サキさん。昨年の日本シリーズ以来、約8か月ぶりにPayPayドームで売り子として働く。「まだ売店での販売で売り子ができるわけではないですし、期間が空いていたので、自分もどうやっていいのか分かっていない状況です。ただ、何よりもスタジアムに戻って来られるのが嬉しいですし、早くお客さんに会いたいという気持ちが強いですね」と、その思いを語る。

「とにかく野球を楽しんでもらいたい思いが強いです」

サキさんが売り子を始めたのは大学1年生のとき。鹿児島出身の彼女は他のバイトが見つかるまでの“繋ぎ”のつもりで売り子に応募した。「求人に短期でできると書いていたので、2、3日だけやって、その間に別のバイトを探そうと思って面接に来たんです。売り子と言うものをあまり知らず、やるとしても半年くらいで辞めるつもりでした」。ところが、それが大学の4年間続くことになる。

「2、3日だけと決めて入ったんですけど、(指導役の)チェッカーさんにめちゃくちゃ褒められて、それに乗せられてしまいました。お客様にも、その間に元気だねと褒めていただけることがあって、凄い楽しいなと感じました」。売り子初日で40杯超を売り上げると、4日目にはハードルの高い100杯超まで売り上げた。売り子としての“センス”を発揮し、今ではPayPayドームで働くアサヒビールの売り子の中でもトップ売り子の1人になった。

自粛期間中は幸いにも別のバイトで稼ぎ、生活はできていたというサキさん。それでも、「売り子の友達とも会えなくなっていて、そこで遊ぶことも多かったので寂しかったです。お客様たちにも会えずに、どうしているかなと思っていました」と寂しさは募った。売り子として働くにあたって1番の楽しみは「お客様たちに会えることですね」という。

「野球がずっとなかったので、とにかく野球を楽しんでもらいたい思いが強いです。家で見るのとドームで見るのは全然違うと思うので、売り子どうこうではなく、まずは野球を楽しんでほしいです」というサキさん。まだ本来の形で売り子としての活動ができるわけではない。それでも、スタジアムに戻って来られる、お客様に会えることが売り子たちには喜びになる。

【写真集】「お客様に会いたい」気持ちで今年もドームに立つ アサヒビール4年目の「サキ」さん

  • アサヒビール4年目の「サキ」さん
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(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)