コロナで着想 ものづくり中小が新分野挑戦 ミシン会社がマスク製造装置、触れずにボタン押せる銅製品など

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ハムスが開発しているマスク製造装置の試作機。アームの先端の刃で生地をマスクの形に裁断する

 京都の中小ものづくり企業が、新型コロナウイルスの感染拡大で新たに生まれたニーズに応える製品を開発している。厳しい事業環境が続く中、本業の技術や扱う製品の特性を生かし、新分野の開拓に挑む。

 工業用ミシン製造のハムス(京都市南区)は、マスク製造装置を開発し、8月の発売を計画する。従業員に配るマスクの製造装置を探す中国の縫製工場や国内企業を知り、3月中旬から装置開発に着手。ロボットアームに付けた刃で伸縮性のある生地をマスクの形に裁断する方法で、1分間に1枚の製造スピードを目指す。

 当初品薄だったマスクは流通量が回復し、機能性やデザインの差異化を図る。価格は1台398万円を想定。宮地康次社長は「企業が備蓄するマスクの大半は輸入頼み。新車を買うほどの投資で、感染の第2波への備えにもなる」と話す。

 機械部品を手掛ける金属加工のJ・P・F(同)は、直接触らずにエレベーターのボタンを押したり、電車のつり革をつかんだりできる銅製品「サワランドウ」を作った。田中丈治社長が海外製品をヒントに抗菌作用のある銅で試作を重ね、4月に商品化。フリーマーケットアプリで売り出すと、大手量販店も扱うようになった。

 田中社長によると、独自に築いた機動的な生産体制が、素早い開発に生きた。「消費者に直接使ってもらう商品のため、売れると従業員の士気も高まった」と効果も話す。

 厚さ1.6センチの段ボールでPCR検査に使う検体採取用の組み立て式ブースを開発したのは、パッケージ製造販売のケイジパック(同)。商品包装に加え、特殊な段ボールを使った店舗のディスプレーやパネルにも注力しており、製品開発のノウハウを応用した。

 医師の意見を参考に、サイズや仕様を調整し、透明シートは着脱式にして消毒作業に配慮した。今後、検査態勢拡充を見込み、自治体などへ売り込む。八木修二社長は「軽くて安価で扱いやすい紙の特性が生きた。扱う素材にどのような可能性があるか、常に考えておくことが重要だ」と指摘する。

 アイデア商品は、メーカー以外にも広がる。従業員9人のデザイン会社ミッツ(西京区)は、プラスチック段ボール製の消毒スプレースタンドを自社開発した。ペダルを足で踏むと台に置いた容器の上の板が下がり、ノズルが押される仕組みで、手で触れずに手指の消毒ができる。

 折り畳み式で収納も容易で、価格は税抜き6800円。イベント会場向けの需要も見込み、アマゾンなどで販売する。

J・P・Fが製作した「サワランドウ」。高純度の銅を用い、質感にもこだわった
ケイジパックが開発したPCR検査の検体採取用ブース。穴から手を入れて採取する
ミッツが売り出す足踏みスプレースタンド。折り畳み式で出し入れもしやすい