4首長「再稼働、全自治体同意を」 柏崎刈羽原発で県内市町村長アンケート

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 東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題に関し、原発が立地する新潟県柏崎市と刈羽村を除く新潟県内28市町村のうち、新発田市など4市町の首長が再稼働前に同意を求めてほしいと考えていることが12日までに、新潟日報社の取材で分かった。いずれも「県と県内全市町村」の同意が必要との見解を示した。

 東電福島第1原発事故後に国の新規制基準をクリアした他県の原発はこれまで、県と立地市町だけから同意を得て再稼働してきた。本県には、同意の範囲を全市町村とする自治体があるため、東電の対応が再稼働問題の焦点の一つとなりそうだ。

 新潟日報社は5~6月にかけ、県内全30市町村長を対象にアンケート調査を実施し、柏崎刈羽原発の再稼働に当たり東電が同意を得るべき「地元」の定義と再稼働を認めるかを聞いた。

 新発田、南魚沼、糸魚川の3市と田上町はいずれも、原発事故では広範囲に放射性物質が拡散する恐れがあることを念頭に「県と全市町村」の同意を得るべきだと答えた。

 新発田市の二階堂馨市長は、県と立地市村が一定の結論を出した後、さらに残る市町村との協議が必要と説く。「(政府が事故時の避難計画の策定を義務付ける)原発から半径30キロ圏で区切るなどと中途半端なことをせず、県内市町村がワンチームで意見を言う場がほしい」と訴えた。

 柏崎刈羽原発の再稼働を認めるかについては、8割の市町村が「判断できない」と答えた。条件付きも含めた「認める」は3市村、現時点では「認めない」が2市だった。

■他県では同意範囲拡大例 東電・県は消極的

 原発を運営する電力会社はこれまで、原子力規制委員会の審査に合格した原発について、県と立地市町から事前に同意を得て再稼働してきた。他県では、今後の再稼働手続きに向けて事前同意の範囲を半径30キロ圏の一部にまで拡大した例もあるが、本県でこうした動きはまだ出ていない。

 ただ、新潟日報社の県内30市町村長へのアンケート調査で、拡大が必要とみる意見も一定数あることが明らかになり、今後、議論になる可能性がある。

 「地元同意」の手続きには、明確なルールや法的な定めはない。東電は柏崎刈羽原発について、立地自治体の県、柏崎市、刈羽村と安全協定を結んでおり、原発や関連施設を新増設、変更する場合は、3者から「事前に了解を得る」としている。

 東電が2002年のトラブル隠しや、07年の中越沖地震で停止した柏崎刈羽原発を再稼働した際は、県、柏崎市、刈羽村の首長の同意を得た。東電は、規制委の審査に合格した6、7号機の再稼働についても「現行の安全協定を踏まえたい」とし、範囲拡大には慎重姿勢を示している。

 県も現時点で枠組み変更には消極的だ。花角英世知事はこれまで、記者会見などで「立地自治体以外は県が判断すればいい」としている。

 一方、茨城県では、日本原子力発電が東海第2原発の再稼働に関し、立地する東海村のほか、30キロ圏の5市から事前同意を得るとする安全協定を18年に結んだ。東海村と周辺市が足並みをそろえて日本原電との交渉に当たり実現。背景の一つに、事故時の住民避難には近隣自治体間の連携が不可欠との共通認識がある。

 本県の市町村長へのアンケート調査では、「県と全市町村」「県と立地市村と30キロ圏」を合わせて地元同意の範囲拡大を求めたのは計11人で、30キロ圏外が目立った。

 「県と全市町村」と回答した南魚沼市の林茂男市長は、事故時に30キロ圏の柏崎市と小千谷市からの避難住民の受け入れ先となることなどを挙げ、「原子力防災を人ごととは思っていない」と強調する。

 地元同意の範囲について「分からない」としつつ、拡大の必要性を示唆する意見もあった。佐渡市の渡辺竜五市長は「事故の影響が及ぶ範囲をシミュレーションで明らかにし、全県となれば全市町村の同意が必要だ」とした。

 これらの声を受け、具体的にどのような地元同意手続きを踏むのか。東電とともに、現行の当事者の県、柏崎市、刈羽村の対応も問われそうだ。