4回までに10K 鷹・石川、楽天打線をねじ伏せた新兵器スラッターと“ももクロ愛”

楽天戦に先発したソフトバンク・石川柊太【写真:福谷佑介】

ストレートに近い軌道、球速で打者の手元で沈むスラッターが大きな役割を果たす

■ソフトバンク 6-1 楽天(12日・PayPayドーム)

PayPayドームで行われた12日の楽天戦で圧巻の好投を見せたソフトバンクの石川柊太投手。4回までに6連続を含む10個の三振を奪って奪三振ショーを展開すると、7回まで強打の楽天打線をわずか2安打1失点に封じて今季2勝目をあげた。チームも3連勝でカード勝ち越し、勝率5割復帰を果たした。

初回にいきなり茂木、鈴木大、ブラッシュと3者連続三振を奪い、圧巻の立ち上がりを見せた石川。2回先頭の浅村の二ゴロを挟み、そこから今度は6連続三振。4回2死からブラッシュを空振り三振に仕留め、早々とこの日の奪三振数を2桁10個に乗せた。

5回に先頭浅村にこの日初安打となる中前安打を浴びると、1死からロメロに中越えの適時二塁打を許して1点を失った。それでも、この日与えた点も安打もこれだけ。7回までわずか91球で投げ抜く“省エネ&ハイスピード”投球で2安打1失点、11奪三振の快投だった。

150キロ前後の真っ直ぐとパワーカーブが武器の石川だが、この日、光ったのが鋭く沈む“スラッター”だった。スライダーとカットボールの中間球のようなボールで、ストレートに近い球速、軌道で打者の手元まで小さく落ちる変化球だ。3回先頭の銀次を空振り三振に仕留めるなど、有効活用した。

「真っ直ぐと同じトンネルで曲がってくれるので振ってくれる。消せない球になっているんじゃないですかね。左バッターの内に投げられるとピッチングがラクになる」。ストレート、スラッター、フォーク、そしてパワーカーブ。このコンビネーションに楽天打線は完全に手を焼いていた。

ももクロ百田夏菜子さんの誕生日に快投した“モノノフ”石川

また、真っ直ぐの力強さにも手応えがあった。「ここ最近で感覚的にちょっと変わったところがあった。真っ直ぐの感じも今までは叩く、上からのイメージでしたけど、シュート気味に、吹けるような感じを意識するようになってから球も強く投げれている。スラッターも指にかかる、いい角度で投げられている。全部うまい感じに、フォークも落ちている。メカニック的にもいい要因かな、と思います」。様々な要因が重なり、そして相乗効果を生んでいる。

そして、石川にとって、この7月12日は大事な1日でもあった。試合後の取材対応を終えた石川は一言、報道陣に言い残した。「今日は夏菜子ちゃんの誕生日なんで」。“夏菜子ちゃん”とは人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ」の百田夏菜子さんのこと。この日、百田さんは26歳の誕生日だった。生粋の“モノノフ”として知られ、ももクロとも親交のある石川にとっては重要な試合だった。

この日の試合開始は14時。そして、ももクロはオンライン配信でライブを行い、その開始は18時半だった。石川のハイテンポな投球で、試合時間は今季最短の2時間28分。決してマウンド上でそんなことを考えていたわけはないが、ライブに余裕で間に合う完璧な“ペース配分”だった。

「凄かったですね。いくつ三振を取るのかなと思いました。ナイスピッチングでした」と工藤公康監督も絶賛した、この日の石川。その背景には新兵器スラッターと“ももクロ愛”があったようだ。

【動画】“究極の魔球”スラッターを駆使して圧巻の投球を披露 鷹・石川柊太のパワー漲る奪三振ショーの実際の映像

“究極の魔球”スラッターを駆使して圧巻の投球を披露 鷹・石川柊太のパワー漲る奪三振ショーの実際の映像【動画:パーソル パリーグTV】 signature

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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