なぜDeNA平良は好投を続けられるのか? 専門家が指摘する防御率1.08の要因

DeNA・平良拳太郎【写真:荒川祐史】

12日の阪神戦で敗れはしたものの、6回1失点と好投した平良

DeNAは12日、敵地の甲子園球場で阪神に1-2で敗れ、カード負け越しを喫した。ここまで負けなしの2勝と好調の先発・平良拳太郎投手は、尻上がりに調子を上げる投球を見せていたが、6回に暗転。四球で出した走者を二塁に背負い、阪神の4番・大山悠輔内野手に決勝の左前適時打を浴びた。

結果だけを見れば、6回を1失点。クオリティスタートを達成した平良は十分に先発の役目を果たしたが、今季初の黒星がついた。阪神・岩貞祐太投手との息詰まる投手戦。互いにスコアボードに「0」を並べる中で、先に脱落したのは平良だった。

「何で、あそこの場面でシンカーを投げたのか。批判でも何でもなく、ただ素朴な疑問としてバッテリーに意図を聞いてみたい」

ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、2018年までヤクルトで2年間、バッテリコーチを務めた野球解説者の野口寿浩氏が触れたのは、6回に大山からタイムリーを浴びた1球。2死二塁で、2ボール1ストライクからの4球目に投じた内角寄りのシンカーだった。

「低めにさえ投げられれば勝てるということを体現している」

この打席、1球目は外角ギリギリに外れる直球がボールとなり、2球目はほぼ同じコースへのスライダーで空振り。3球目は外へのスライダーが外れていた。バッティングカウントで、打席には4番打者。「あの場面、自分だったらインコースはどうかなと思う。もし内角に行くにしても速い球だと思いますが、ファウルが取れれば儲けもんくらいの感じでしょうか」と捕手目線で野口氏は語る。

さらに大山に対しては、前の打席で内角への直球で見逃し三振を奪っていただけに「大山の頭の中にもインコースはあったと思います」とも。あくまで結果論だが「外角の球でカウントを整えて、インコースへの意識が少し薄れたと思ったらインコースにいっても良かったのでは」と理想の配球を想像した。

ただ、全体的に平良は目を見張る投球内容だったことは確か。スライダーやシンカーを丁寧に内外角に投げ分け、内角の直球も効果的に使っていた。野口氏も「投げミスは数えるほどしかない。びっくりする真っすぐや変化球はないが、低めにさえ投げられれば勝てるということを体現している。ブレークを予感させる内容だと思います」と強調した。

負けはしたものの、今季は4試合計25イニングを投げて堂々リーグトップの防御率1.08。すでにハマのローテ陣に欠かせない存在になっている。野口氏は今後の登板にも期待しつつ「調子が良い時こそ、余計な怪我に気をつけてほしい」とも。この日25歳を迎えた右腕に漂う覚醒の予感は、近いうちに実感へと変わっていくかもしれない。(小西亮 / Ryo Konishi)

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