堺雅人ら「半沢直樹」配信で制作会見。「いよいよ船出! 役者同士が演技でぶつかり合うことはやめません」

7月19日にスタートする、堺雅人主演のTBS系連続ドラマ「半沢直樹」(日曜午後9:00)の制作発表記者会見が配信で行われ、堺をはじめ、上戸彩、及川光博、片岡愛之助、今田美桜、井川遥、尾上松也、市川猿之助、北大路欣也、香川照之が出席した。

2013年7月期に放送された「半沢直樹」の続編となる本作は、前作と同じく池井戸潤氏の「半沢直樹」シリーズの「ロスジェネの逆襲」と「銀翼のイカロス」(ダイヤモンド社/講談社文庫)が原作。東京中央銀行のバンカーである半沢が、銀行内で行われていた数々の不正を明らかにするも、子会社への出向を命じられるという衝撃の展開で最終回を終えた前作から、今作では東京セントラル証券で営業企画部長となった半沢の周りで巻き起こる事件が描かれる。果たして、半沢は出向先でも次々に発生するトラブルを乗り越え、理不尽な要求を突き付ける相手に「倍返し」できるのか。新たな物語がいよいよスタートする。

映像でつながった、200人の女性視聴者をバックに「奇麗な花が咲いたみたいですね」と笑顔を見せた堺は、「ちょっと芝居でどなりすぎて、変な声になっていてすみません。一足先に1話を見ましたが、とてもカロリーが詰まったドラマになっています。1シーン1シーン撮影は大変ですが、壮大な物語がいよいよ船出となります」とあいさつし、「前作から今作まで、そしてコロナがあって途中撮影の中断があったので、2回中断があったともいえますが(市川猿之助さんが『半沢直樹』を生き物に例えましたが)、まだ脈があるんだ、力強く心臓が動いてるんだということを確信しました。みんなで作っているものなので、生き物としてようやく動きだした感じがあって、ほっとしました」と、新型コロナウィルスの影響により3カ月遅れとなったものの、無事にスタートできることに安堵している様子を見せた。

また、会見前の出演者がそろった試写では、「楽屋で、歌舞伎の皆さんがずっとお話されていて、どこかの地方巡業かってくらい賑やかで。本当におしゃべりが止まらなかった」と暴露。すると及川も「みんなで見ているのに、副音声を聞いているみたいだった」と笑い、香川は「僕たちも会ったのが久しぶりだったから…」と照れ笑いしながら、申し訳なさそうに話した。

半沢の敵となる大和田暁常務役を演じる香川だが、原作となる続編には登場していないキャラクターのため、「完璧な原作のどこに大和田が入る余地があるんだろう」と自分が出演していいものか迷いもあったそうで、「(原作の)池井戸先生もこの会見を見てくださっているかと思いますが、ダメだと思ったら、すぐに首を切ってください」と語りつつ、「今のところはいい感じです。完璧な原作にどう大和田が入ってくるのか楽しみです」と期待を寄せた。

作品については、「試写を見て、半沢直樹というキャラクターには、強さと濃さとそれから信念と、真っすぐさがあるんだなということを再認識しました。年月が経っても、堺雅人さんの立ち居振る舞いを、また見られたことが僕はうれしかったですし、何より本当にこの『半沢直樹』が戻ってくることができて、ホッとしておりますし、感謝しています。ここから約3カ月、本当に気を引き締めて、最後までいい結果が出せるようにやらなければならないと、あらためて思いました」と、作品への強い思いを語った。

また、大和田の愛弟子として、同じく半沢の敵となる伊佐山泰二を演じる市川猿之助は、予告から抜群の存在感を放っているが、「大したことのない役者ですが、ほかの出演者の方々が、いい包装紙としてうまくラッピングしてくださっているので、そう見えているだけです」と謙遜し、「香川さんが保護者のごとく、付き添ってくださって、手取り足取り教えてくださっている。出来上がっているチームに入っていくのは不安だったんですが、香川さんが出来の悪い子どもを見守る保護者のように寄り添ってくださっています」と香川のサポートに感謝。

それに対し香川は、「付きっきりで指導しましたよ。前回、僕は(半沢に)土下座を食らっているので、うちのいとこまで土下座を食らうわけにはいかないんですよ! 一族をかけた半沢直樹に対しての戦いなんですよ!」と半沢との戦いに執念を燃やし、堺も「なんか重たいものと戦ってる気はしてました」と笑いながら、調子を合わせた。

半沢の妻・花を演じる上戸は、妻として、男性から人気が高いキャラクターを演じることについて、「旦那さんを後ろから支えて、『私がそばにいる。どうなっても後ろに付いていく。あなたなら大丈夫』っていう奥さんはあまりよくなくて、『この先どうなろうと、自分が選んだ道を行って来い!』ってドンっと背中を押してくれる勢いのある女性の方が、男性は力を抜いて働くことができると、監督から教えられました。私も演じながら学んでいます」と告白。肝の座った明るい花を演じているため、体をのけぞらせたりジェスチャーの大きな芝居をすることも多いそうだが、堺から「一挙手一投足が笑っちゃうくらいイキイキしてる」と指摘されると、「家ではやっていませんよ…」と照れていた。

前作で半沢に出向を命じた東京中央銀行の頭取・中野渡謙を演じた北大路は「個人的には半沢が好きですか?」という視聴者からの質問に、「個人としては大好きです。半沢に教えられることがいっぱいあります。そして花ちゃんも大好きなんです。2人がいるから、半沢のパワーに真実味がある気がするんです」と目を細め、「撮影の合間には堺さんに、『今の(半沢の)セリフ大好き!』って言っています。頭取としては厳しい顔をしていますが、出向を命じても腹の底には、半沢に大きくなって帰ってきてほしいという思いがあったと思う。すごいパワーを持って帰ってきてくれてうれしいですね」と、今作のスタートを喜んだ。

最後には、堺が「アクリル板がある会見が初めてで、でもこれが新しい生活様式なんだなぁと思いました。現場では、先生のご指導の下、ガイドラインに従って安全に気を付けながらしっかりと撮影しておりますが、役者同士がぶつかる力を弱めるという選択肢はわれわれにはありません。本当に全力でぶつかって、そのぶつかるさまを皆さんに見ていただけたらと思います」と、新しい環境の中で気合を入れて撮影に臨んでいることを伝え、「続編が決まってから『頑張って』というお声をいただいていますが、この時代になって頑張れるってことがすごく幸せなんだと思っております。頑張りたくても頑張れない人がいっぱいいると思いますし、芝居がやりたくてもやれない方がたくさんいる。幸せをかみしめながら、残りの撮影も頑張ります。7月19日、どうぞよろしくお願いいたします」と力強く呼びかけ、会見を締めくくった。

© 株式会社東京ニュース通信社