TCRオーストラリア:8月予定の開幕戦は州境封鎖の影響で再延期。1カ月遅れの9月開催を目指す

 2020年で創設2年目のシーズンを迎えるTCRオーストラリア・シリーズは、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響で8月中旬の再開を目指していたカレンダーでもふたたびの延期を強いられ、ビクトリア州政府とクイーンズランド州政府による“州境封鎖措置”拡大により、9月第1週の開幕を目指すことが発表された。

 ビクトリア州に位置するメルボルン市街での感染再発と拡大が収まらず、隣接する中部ニューサウスウェールズ州(NSW)との往来を完全に遮断するため、この7月に州政府による“ロックダウン”が発表されたことを受け、TCRシリーズを運営するARG(Australian Racing Group)も新たな対応を強いられ、シドニー・モータースポーツでの開幕戦を9月4~6日へと再度延期する措置がアナウンスされた。

 この州境封鎖に対しては、同国を代表するツーリングカーのトップカテゴリーであるVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーも同じく急きょの対応を迫られ、封鎖実行となる7月7日(火)23時59分を前にビクトリア州を拠点とするチームは急きょパッキングを進め、深夜にシドニーへの大移動を敢行。今週末の開催を予定する同地で待機する格好となっている。

 TCRオーストラリアのシリーズディレクターを務めるシャノン・モータースポーツのマイケル・スミスは、同選手権と併催を予定する豪州史上最速フォーミュラのS5000シリーズ、オーストラリアンGTチャンピオンシップなども、同様に9月のシドニーから再開を目指したいとの意向を示した。

「8月の日程でシリーズが再開できることを願っていたが、スーパーカーと同様にビクトリア州に本拠を構えるチームが多くNSWとの州境を自由に往来できないことから、残された唯一の選択肢として9月第1週への延期を決めたんだ」と説明したスミス氏。

VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーと同様に、州境封鎖の影響を受けたTCRオーストラリア。開催地シドニーは維持された

「シドニー・モータースポーツパークでシーズンを再開するのは確実にエキサイティングな展望であり、この新しい日付がすぐそこに迫っていることも理解している。結局のところ、我々は皆できるだけ早くレースをしたいと思っているんだ」

「今季はとても不確実で流動的なシーズンにならざるを得ず、すべてのカテゴリーのエントラントやサーキットのマネージャー、そしてファンのサポートと理解に深く感謝している」

「この新しい開幕戦シドニーの日程は、この後に続くラウンドの日付を変更する必要があることを意味するかもしれないが、ARGとともに調整を進め、できるだけ早く更新された情報を提供したいと考えている」

 同じくARGのCEOを務めるマット・ブレイドも、こうした健康管理と公衆衛生上の難しい条件のもとでは、COVID-19パンデミックを取り巻く環境の変化に柔軟に対応できることが重要だと語っている。

「現在進行形のコロナ危機は、かつてのどの感染症とも比較できない前例のないものであり、レースカレンダーへの復帰に対する継続的な努力に対し、現実に即してどのように適応するか柔軟な対応が求められる」と述べたブレイド代表。

「過去数日間にビクトリア州の状況が悪化し、影響を受けた多くのチームの状況を考慮すると、日付を移動することがすべてにとって最良の結果になると感じた。シドニーが新たな日程を受け入れてくれ感謝しているし、今後カテゴリーの明確な方向性を得るため、引き続き可能な限り懸命に取り組んでいくつもりだ」

 シリーズ再延期を受け、その期間は当初スケジュールから現実とオーバーラップした予定が組まれていた『TCR Australia SimRacing Series』が、シリーズのレギュラードライバーやチーム、マシンをフィーチャーした仮想選手権での戦いを進めていくこととなる。

すでに第2戦を終えたTCR Australia SimRacing Seriesの次戦も、仮想シドニー・モータースポーツパークが予定される

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