大雨特別警報から1週間 大村、農地など被害広範 復旧長期化も

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浸水で被害を受けたハウスを片付ける立田さん=大村市皆同町

 長崎県内4市3町に大雨特別警報が発表された記録的な大雨から13日で1週間。崖崩れや河川の氾濫が相次いだ大村市では復旧に向けた作業が始まっているが、農地などの被害は広範囲にわたり全容を把握できていない。復旧も長期化が予想される。
 県災害警戒本部のまとめでは、13日午後6時現在の大雨による県内の死者は1人、住家の一部損壊や床上・床下浸水は計186棟。大村市では床上浸水20棟、床下浸水158棟に上った。
 大村市の6日午後3時17分までの1時間降水量は94.5ミリ、7日午前6時40分までの24時間雨量は384ミリで、いずれも観測地点として史上最大を記録。市内を流れる佐奈河内川と郡川で護岸が決壊し、流域の福重地区では田畑の浸水やビニールハウスの倒壊などが相次いだ。
 「返済も今年終わって、これからという時だったのに」。同市皆同町のビニールハウス20アールでトマトを栽培する立田喜子さん(54)は、荒れ果てたハウスの中で肩を落とした。
 立田さんの栽培は土や肥料、減農薬にこだわりトマトの甘さが自慢。収穫の真っ最中だった。6日は別の場所で選果作業をしており、気付いた時にハウスは一面、浸水していた。無残に倒されたトマトは出荷できなくなり、温度管理などをする機械も水に漬かった。
 ハウス内には流入してきた石が散乱し、人の手で除去するしかないという。「またトマトを作っていきたいとは思う。復旧に向けて少しでも自己負担が軽くなれば」と望んだ。
 福重町で観葉植物のコニファーを育てている清水正人さん(67)のハウスも浸水した。「外は道も川も分からない状態だった」と振り返る。「栽培しているコチョウランも新型コロナウイルスの影響で売れない中で、今回の大雨被害。地域では堤防の整備などをずっと要望していたんだけど」とため息交じりに語った。
 県の速報値(9日現在)によると、豪雨による県内の農林業被害額は11億7660万円。うち同市は3億9259万円。市の調査(11日現在)では、被害箇所は農地289件、農業用施設166件に上るが、被害額や件数はさらに膨らむ見込み。
 市は応急復旧費として3億円を専決処分し、うち9千万円を農地や農業用施設に充てるなど対策に乗り出している。市農林水産振興課は「今後、専門家も交えながら復旧に向けて取り組みたい」としている。