「ヨコタの岩ガキ」復活 志賀・高浜漁港沖の岩礁で漁

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 志賀町の高浜漁港沖5キロの岩礁(がんしょう)「ヨコタ礁」で岩ガキの素潜り漁が復活した。大ぶりで濃厚な味わいから「ヨコタの岩ガキ」と呼ばれ食されていたものの、難所ゆえに50年以上は漁が途絶えていた。「あの味をもう一度」と願う住民の声に応えようと、地元の漁師3人が念入りに準備を進めてきた。水揚げは順調で、今後は資源保護を図りながらブランド化を目指す方針だ。

 高浜漁港の南西の沖に「ヨコタ礁」はある。志賀町史によると、礁は東西約600メートル、南北約1400メートルの菱形で、平均水深は12~14メートル。潮の流れが速く、水深も深いため、担い手はどんどん減った。県漁協高浜支所によると、過去50年間は「ヨコタの岩ガキ」の出荷の記録は残っていない。

 高浜支所が管轄する領域は、大島(おしま)海岸沖が県内有数のカキの産地として知られる。大島の岩ガキは大きくても700~800グラムだが、「ヨコタの岩ガキ」は1キロ以上に達する個体も多い。殻の長さは20センチ、厚みは10センチを超える大物も少なくない。

 今では70、80代の住民の一部が食した記憶を持つだけとなった。「伝説の岩ガキを食べたい」。ここ数年、地元の高齢者からそんな声を聞くようになり、3人が立ち上がった。カキ部会長の平野政志さん(39)、加藤直樹さん(42)、北敏彦さん(41)は、岩礁の形状や分布状況を確認し、ヒトデの駆除も行って漁に備えてきた。

 漁は6月末に開始し、水揚げ量は安定しているという。3人が水深12~15メートルまで潜り、1日1人約200個を限度に採取している。生食用のため、殺菌水の水槽に24時間つけた後、金沢市の市場に出荷している。

 親子4代漁師で、祖父がヨコタの岩ガキ漁をしていた平野さんは「自分の代で仲間と復活させることができて感慨深い。多くの人に味わってもらい、ブランド化させたい」と話した。