中東初の火星探査機「HOPE」7月15日朝に日本から打ち上げ

UAEの火星探査機「アル・アマル」を描いた想像図(Credit: UAE Space Agency)

アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド・ビン・ラシード宇宙センター(MBRSC)が運用する火星探査機「HOPE」(アル・アマル、日本語で「希望」の意)の打ち上げ予定日が間近に迫っています。HOPEは同国初にして中東初となる火星探査機で、打ち上げは種子島宇宙センターから「H-IIA」ロケット42号機によって行われます。

■火星の気候のさらなる理解を目指すミッション

現在の火星には寒く乾いた土地が広がっていますが、過去の気候は比較的温暖で、表面には海が形成できるほどの水が存在していたと考えられています。火星の表面では堆積岩らしき岩や水の作用によって形成されたとみられる地形などが見つかっていますし、NASAの火星探査車「キュリオシティ」が活動しているゲール・クレーターにかつて存在していた湖の水はミネラルが豊富で、生命の生存に適した水質だったのではないかとする観測データの分析結果も発表されています。

HOPEは火星の大気の観測を主な目的とする探査機です。火星の下層大気における気象の変化と上層大気からの水素と酸素の流出を観測することで、上層大気と下層大気の関係性をより深く理解し、火星の環境が温暖だった過去から気候変動と大気の流出を経て現在のように変化したプロセスを探る研究に寄与することになります。

大気と地表を観測するために、HOPEには多波長イメージャ「EXI(Emirates eXploration Imager)」、赤外線分光計「EMIRS(Emirates Mars Infrared Spectrometer)」、紫外線分光計「EMUS(Emirates Mars Ultraviolet Spectrometer)」の3つの観測機器が搭載されています。火星を55時間で1周する軌道(高度2万×4万3000km)に投入されるアル・アマルは、火星の各季節における一日を通しての気象変化を捉えることを目指します。

なお、H-IIAが他国の惑星探査機を打ち上げるのはHOPEが初めてで、火星探査機の打ち上げも今回が初となります。打ち上げ日時は現在のところ日本時間2020年7月15日(水)5時51分とされており、火星にはアラブ首長国連邦の建国50周年となる来年2021の年2月に到着の予定。天候不順等に備えた打ち上げ予備期間は8月13日までが確保されています。また、打ち上げ前後の様子は三菱重工によって当日朝5時30分からライブ配信される予定です。

お待たせしました!H-IIAロケット42号機によるUAE火星探査機「HOPE」の打上げ準備状況をお届けします。現在、2020年7月15日5時51分27 秒(日本標準時)の打上げに向けて、順調に準備を進めています。当日の打上げは、ライブ配信でお楽しみください。詳細はこちら。 #H2AF42https://t.co/66nSXQ7jG3 pic.twitter.com/cDlZLuypCw

— MHI Launch Services (@MHI_LS) July 13, 2020

Image Credit: UAE Space Agency
Source: Emirates Mars Mission / 三菱重工による打ち上げのライブ配信(YouTube)
文/松村武宏

© 株式会社sorae