2020日毎日誰かがフルマラソン、ついにゴール コロナや台風…中止の危機も、参加者の熱意で継続

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難病ALSを宣告された江村俊彦さんが、最後の1周サポートを受けながらゴールした=13日午後2時半、さいたま市南区の別所沼公園

 2020年7月に予定されていた東京五輪までの2020日間、毎日誰かがフルマラソンを走り続ける挑戦「チャレンジ2020」が13日、ついにゴールを迎えた。始まったのは15年1月2日。悪天候の日も2020日間休むことなく走り続けた挑戦は、参加者全員の熱意の継続で、ついに前人未到の偉業を達成した。主催するNPO法人HERITAGE(ヘリテージ)代表の楠田昭徳さん(77)は「生涯の宝物になった」と喜びを話した。今後、世界記録にも申請する予定という。

 挑戦は埼玉県さいたま市南区の別所沼公園で行われた。周回コースを毎日約46周(42.195キロメートル)し、個人でもリレー形式でも参加できる。最高記録はさいたま市消防局陸上部が16年9月にメンバー8人で臨んだ2時間18分0秒。中には7時間以上かけてゴールした人もいた。参加年代も3歳児から80代までと幅広く、今年5月末までの参加者数は約9800人。最終的な発表はこれからだが、1万人以上が参加したとみられる。昨秋の台風19号の際も走った。

 1日当たり42.195キロを2020日続けると、走行距離は8万5千233.9キロ。地球の外周(約4万キロ)を2周以上、走った計算になる。

 挑戦は東京五輪に向け、人との触れ合い、継続の大切さ、走ることの楽しさを皆で分かち合いたいとの思いで始められた。楠田さんは08年、イタリア人男性が51日間連続でフルマラソンを完走したという新聞記事に感銘を受け、09年3月の第3回東京マラソンで、52日間連続でマラソンを完走する当時の世界記録を打ち立てている。

 スタート直前の14年12月、埼玉新聞の取材に「人間は利口だから、自分で『壁』を予測してしまう。でも本当はすごい力を持っている。難しいからこそ挑戦したい」と楠田さん。ひた向きな積み重ねが多くの仲間を呼び込んだ。

 新型コロナウイルス感染拡大や、それに伴う東京五輪の延期など、ゴール直前には挑戦そのものの意義が問われる、中止の危機もあった。そんな中でも参加者のランニング用マスク着用や、バトンリレーからハイタッチへの変更といった工夫、何より絶えることのない、多くの参加希望者の声が挑戦を後押しした。

 13日のゴールにはこれまで挑戦に携わった100人以上が同公園を訪れ、歓喜の瞬間を見守った。楠田さんは「無理だと言われてもできると信じ続けてきた。本当に長かった」とこれまでを振り返った。