【7月14日付社説】新型コロナ・県産果物/需要喚起し消費拡大目指せ

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 「果物王国」の本県を代表するモモやブドウなどの収穫が本格化する。今年は新型コロナウイルスの影響で、高級果物の贈答用販売や外食向けの需要が低迷している。県やJA、流通関係者は県産果物のおいしさを伝え、消費を拡大する取り組みに全力を挙げたい。

 緊急事態宣言の発令中に収穫期を迎えた県産サクランボは、百貨店の休業などで贈答用の販売が落ち込んだ。例年、多くの人でにぎわう県内の観光果樹園は、県境をまたいだ移動の制限や外出自粛のため団体客の利用がほとんどなく、入場料収入やお土産用の販売などが激減した。

 現在、百貨店や大型スーパーなどは営業を再開し、移動の自粛も解除されたが、東京都を中心に首都圏で感染者が急増しており予断を許さない。モモ狩りなど観光果樹園の予約はサクランボほどではないが、依然として低調という。コロナ禍に対応した販売戦略を展開することが不可欠だ。

 全農県本部によると、サクランボの販売では、通常なら化粧箱に入れる高価格帯の商品をパックに入れ、価格を下げてスーパーなどに出荷し、家庭などでの消費につなげた。福島市は県内の医療従事者や市内温泉地の宿泊客がお得に観光果樹園を利用できるプランを用意し、好評だった。

 需要が減れば、値崩れが懸念される。モモやブドウなどもサクランボと同様に、あらゆる手法で需要の掘り起こしに努めてほしい。

 県は今月、ヤフーショッピング、楽天市場、アマゾンの大手3社のオンラインストアで果物では初の販売促進キャンペーンを始めた。県産品を扱う「ふくしまプライド便」内で20~30%引きクーポンを数量限定で配布し、モモの主力品種あかつきや、ブドウのシャインマスカットなどを販売している。

 プライド便の売上額は年々伸びており、全農県本部などもネット通販に力を入れている。贈答用への活用も促し、リピーターを増やしていくことが求められる。

 感染防止のため、試食など対面での宣伝活動ができない小売店が多い。消費者においしさを直接伝える機会は限られる。県産果物の特徴や魅力をPRする上で、会員制交流サイト(SNS)などの活用も有効な取り組みになる。

 県は今月、シンガポールの日系量販店で初の県産モモの取り扱いを始め、20トン以上を販売する。タイやマレーシア、インドネシアへのモモの輸出量は増えている。

 県産果物は風評払拭(ふっしょく)の取り組みの途上だ。安全性をアピールし、輸出拡大につなげる必要がある。