中核病院でクラスター発生 対応急ぐ周囲の病院 長崎の医療体制を守る

 県都・長崎市の中核病院、長崎みなとメディカルセンター。新型コロナウイルスのクラスターが発生し、新規の入院患者や外来、救急の受け入れ休止に追い込まれた。協力を求められた周囲の医療機関は連携して地域の医療体制を守ろうと対応を急いだ。
 13日午後、長崎医療圏の休日夜間の救急患者を交代で受け入れる9輪番病院のトップらが、急きょウェブ会議に臨んでいた。輪番は2病院または3病院で組んで4日に1回担当する。センターもその役割を担っているが、当面抜けることになり、代わりに別の医療機関がカバーすることになった。
 またセンターは今年2月、心血管・脳血管疾患を中心に重症患者に対応する救命救急センターを設置。長崎大学病院も13日、こうした患者を高度救命救急センターで受け入れる方針を決めたが、中尾一彦病院長は「救命救急病床は19床しかないので、一般病床での受け入れも想定しなければならない」と話す。
 メディカルセンターは周辺の診療所から紹介された患者も診ており、肺がん患者を紹介した医師は「診療休止が長引けば、術後の定期受診はどうなるのか」と心配する。別の消化器系の医師は「患者が希望する紹介先の選択肢が一つ減り、別の病院に患者が集中すれば手術が遅れる可能性もある」と指摘する。
 センターは新型コロナの感染拡大で一般診療が抑制された場合に備え、各診療科ごとに周囲の医療機関にどう協力を要請するかリストを作成。既に要請したという。センターを運営する長崎市立病院機構の片峰茂理事長は12日の会見で「バックアップ態勢の構築には地域の医療機関の協力が不可欠。連携の在り方を追求したい」と述べた。

 


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