漫画『薬屋のひとりごと』は宮廷ならではの人間関係が謎を深める【相関図あり】

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宮廷内で巻き起こるミステリーが面白いと話題の『薬屋のひとりごと』。次々と湧き上がる事件を、主人公の猫猫が「薬学の知識」で解決に導きます。妃やその子どもを襲う謎の体調不良、幼い姫を狙う毒殺未遂など、宮廷ならではの人間関係が引き起こす事件の数々は一筋縄ではいきません。

それだけでなく、主人公の猫猫や宦官の壬氏など出生が不明なキャラクターも多く……彼らの過去も見どころの一つ。さまざまな人の思惑が絡まりあう、宮廷ミステリーを楽しめます!この記事では、「宮廷内の人間関係」にスポットをあてて本作の魅力を紹介していきます。

2020年読むべき漫画『薬屋のひとりごと』

『薬屋のひとりごと』は、マイペースで薬屋の仕事にしか興味を示さない猫猫が宮廷内の複雑な人間関係から巻き起こるミステリーを解決していく作品。それだけでなく、彼女の上司にあたる宦官・壬氏とのラブコメ要素も楽しめる注目作品です。

本作は、小説投稿サイト「小説家になろう」発の作品をコミカライズした漫画。「次にくるマンガ大賞2019」では、小説原作の漫画が初めて大賞を受賞し、話題になりました。

最近では、現役東大生作家・西岡壱成が「学べる漫画」として地上波のニュース番組で本作を紹介したことからも話題に。「今読むべき漫画」と言っても過言ではありません!

*『薬屋のひとりごと』は、小学館から出版されているものと、スクウェア・エニックスから出版されているものがあります。西岡さんはスクウェア・エニックス版を紹介されました。この記事では小学館から出版されている『薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~』の魅力を紹介します。どちらも特徴が異なる面白さがありますので、「『薬屋のひとりごと』原作、漫画2作の違い、どの順で読むべきかを解説!」をご覧ください。こちらで詳しく説明しています。

漫画『薬屋のひとりごと』のあらすじ

猫猫(マオマオ)は、薬屋を営む養父とともに花街で暮らしていた少女。ある日、薬草を摘んでいる最中に人攫いにあってしまいました。売り飛ばされた先は「後宮」。街に匹敵する規模の宮には、皇帝とその后妃、そして彼らに仕える様々な身分の者が住んでいました。

皇位継承順位や階級など、様々な争いが起こる後宮。人々の思惑が渦巻く後宮で働くことになった猫猫は、薬学の知識で皇妃の命を救ったことで宦官の一人・壬氏(ジンシ)に目をつけられました。薬の知識と毒への耐性をもつ彼女は、後宮内の事件に巻き込まれることに。

事件を解決していきながら、薬や毒に没頭しているマイペースな猫猫と、彼女に好意を寄せているのにやっかいがられる壬氏とのラブコメを楽しむこともできます。

遊女の娘として生まれ、養父とともに暮らしていた猫猫。そんな彼女にとって遊女屋が集まる地域「花街」は実家に当たります。母が遊女であったという関係から、遊女と客が出会う「妓楼」にも頻繁に出入りしていました。

後宮と花街、2つの場所を舞台に、さまざまな人間関係が絡み合うストーリーから目が離せません。

本作はスマホアプリ「マンガワン」にて、2020年7月現在連載中です。読みたくなったら下の「『薬屋のひとりごと』を読んでみよう!」ボタンからアプリに移動することができます。他にも、各ページの下部に設置していますよ。

相関図で見る『薬屋のひとりごと』

猫猫の働く後宮は、皇帝を頂点に、さまざまな身分の人が集まる場所。後宮には帝の妃が住む宮が4つあります。その中で一番早く子どもを生んだ妃が皇后と呼ばれます。

妃同士の仲は険悪ではないものの、どれだけ寵愛されたか、また妊娠・出産の順番で階級が決まることから、争いがまったくないわけではありません。子どもを毒殺しようと企む事件が起きたり、妃の命を狙う事件が起きることも。

侍女や文官、武官など、さまざまな人の思惑が絡み合った事件に、猫猫たちは挑むこととなります。また、本作はもう一つの街も大きく絡み合ってきます。

猫猫が人攫いに遭う前に暮らしていたのが花街。花街で薬師として働く養父のもとで育ったため、薬の知識と毒への耐性があります。彼女の養父も過去に後宮で働いていたようです。

養父に就いて薬師をしていた猫猫は、「緑青館(ろくしょうかん)」と呼ばれる妓楼にも出入りしています。「花街の三大美姫」と呼ばれる、梅梅(メイメイ)、白鈴(バイリン)、女華(ジョカ)は、猫猫から見ると小姐、いわゆるお姉さんのような存在です。遊女の手配などをおこなう「やり手婆」とも昔からの顔馴染みのようで、猫猫は緑青館の人々と家族のような付き合いをしています。

彼女はこの立場をうまく利用し、実家に帰る許可をもらうときなど交渉が必要になった際は、三大美姫を交渉の手札として要件を通すことも。

実の両親がいない猫猫が、養父と育った街。彼女の出生と大きく繋がる、物語の上で重要な舞台です。

【解説】主人公・猫猫と関係が深い人々

後宮で働くことになった猫猫は、はじめは目立たぬよう過ごしていたものの、薬学の知識で夫人とその娘を救ったことから、上級妃である玉葉妃の侍女となることに。彼女に知識があることを見抜き、目を付けたのが男性でありながら美しい風貌として有名な宦官・壬氏です。

壬氏は宦官という立場です。宦官とは、生殖機能を失った者のみがなれる高官。宦官はその性質により、体の線が丸みを帯びたり、声が高くなる傾向にあるのですが、なぜか壬氏にはその様子がありません。本当に機能を失っているのか怪しい描写があったり、出生についても謎な描写があったり、彼もまたミステリアスなキャラクターです。

普段は仕事ができ、後宮にいる女性たちにとっては憧れの存在である壬氏ですが、猫猫だけは特別な様子。彼女に好意を抱いているものの、本人は清々しいほどの鈍感。好意に気づいていないどころか、厄介な人物と認識されています。

壬氏からの壁ドンシーンは見所です。恋愛漫画であれば、異性からの壁ドンは進展の予感がするものですが……猫猫の表情というと……。彼らの想いが一向に交差しないところも本作の魅力です!

猫猫の養父は花街で薬屋を営んでいますが、過去には後宮で医官を勤めていました。養父の過去と、花街で猫猫を育てたことには何か関係がありそうで……。

養父の存在は、彼女の過去を知る上でも欠かせないピースの一つとなりそうです。

後宮で様々な事件に巻き込まれることによって、壬氏の付き人・高順(ガオジュン)や武官や文官とも関わっていく猫猫。武官のなかでも誠実で優秀な李白(リハク)は、猫猫が緑青館の姫を紹介したことから協力し合う仲に。愛想がいいわけではない彼女が、人脈を広げていく姿は面白いものがあります。

そしてキーパーソンとなるのが見るからに怪しげな風貌をした軍師・羅漢。物語中盤から、しきりに猫猫や壬氏に絡んできます。猫猫との間には因縁があるようで……。

【解説】皇帝と皇妃の関係とは?覚えておきたい後宮内の関係

後宮内の頂点にいるのが皇帝です。4人の妃がいるものの、それぞれの妃を分け隔てなく、愛しています。

猫猫と一番関わりがあるのは、翡翠宮に住む玉葉妃(ギョクヨウヒ)。彼女の元で侍女として毒見係をすることになりました。玉葉妃は温厚で明るい性格、侍女たちとも仲良く過ごしており、そんな姿に癒される読者が多数。

水晶宮の梨花妃(リファヒ)は、初登場時こそ荒れた雰囲気ですが、本来は懐が深く気品がある性格。事件を通して猫猫とは、良好な関係を築きます。

金剛宮の里樹妃(リーシュヒ)は、4人の妃のなかでも最年少。先帝の妃として9歳ときから後宮に入り、現在の皇帝となりあらためて後宮に入っています。幼くして皇帝の寵愛を受ける里樹妃を妬む人が多く、事件の引き金となることも。

柘榴宮の阿多妃(アードゥオヒ)は、後宮に一番長くおり、皇帝からの信頼も厚い夫人です。過去に子供を出産しましたが、運悪く皇后妃との出産が重なり医師の手が足りず出産後の治療が遅れ子どもを産めない体に。過去に乳児期の子どもを一人亡くした経験があるのですが、出産時の様子は謎も多く、壬氏とよく似ている点も気になる所……。

『薬屋のひとりごと』2巻

後宮という狭い世界だからこその、ドロドロした人間関係も見どころの一つです。妃のなかでも最年少な里樹妃は、侍女からいじめの対象になることもあります。それだけでなく、生死に関わる事件が起きることも……。小さな事件から大きな事件まで、後宮ならではの人間関係を感じられます。

猫猫は全ての事件で薬学の知識と観察力を活かして、壬氏をはじめとする協力者とともに謎の解明に立ち向かいます。

【言動に注目するべき登場人物:宮廷】壬氏と羅漢

ここからは、本作を読み進める上でとくに注目していきたいキャラクターについて紹介していきます。

メインキャラクターでありながら、謎が多い壬氏。宦官として、後宮で日々仕事に励んでいる壬氏ですが、何かしらワケありのようです。彼の正体に関して言及する描写が、後半で描かれていきます。

『薬屋のひとりごと』7巻

作中では宦官という身分について徐々に明かされていきます。一つの考察材料となるのが阿多妃。

血縁関係者を思わせる壬氏とそっくりな顔、皇后妃と被った出産日、子供の取り違え疑惑……阿多妃の子供に関しては、謎めいた描写が多々あります。

夢で幼少期の頃を見ている壬氏。

一緒にいる女性の身なりは、後宮内でもかなり華やかで高い身分を感じさせます。後宮内の身分が高い人物が集まる祭事に出席しているシーンもあり、確実に現在の身分より高い位の人物のはずです。

あえて正体を隠さなければ行けない理由は、かなり重大な秘密なのが伺えます。ただのイケメン宦官ではない、壬氏の正体も作品を通しての謎です。

壬氏の好意とは違った意味で猫猫に執着を見せるのが、羅漢です。登場から怪しい雰囲気満点です。軍師として確かな頭脳を持ち、その采配力、人の才能を見出す力は壬氏からも認められている人物。

『薬屋のひとりごと』7巻

羅漢は、作品内でも唯一、猫猫が本気で嫌悪を表す相手でもあります。彼女の表情から推察するに、後宮で働く前から面識があったと考えられます。猫猫が花街で暮らしていたときに関わっていたことになりますが、身分にはかなりの差があるはずです。

後宮内でそれなりの地位に付きながら、侍女である猫猫に執着するのは、彼女の薬に関する知識を買ってのことなのか、それ以外に因縁があるのか……。羅漢の動向からも目を離せません。

【言動に注目するべき登場人物:花街】病床につく女

猫猫が暮らしていた花街にある緑青館。そのなかでも高い人気を誇るのが、三大美姫です。猫猫が花街で過ごしていた時、彼女たちは姉のような存在で、踊りや化粧などを教えてくれました。猫猫が後宮に出入りするようになってからも、変わらず親しい間柄です。

『薬屋のひとりごと』2巻

梅梅は、面倒見もよく優しい性格。白鈴は、愛情深いながら、奔放な性格で、自分にとっての王子様を日々求めています。猫猫の計らいで、文官の李白と急接近中です。女華は、猫猫と似たような性格をしている才女。男嫌いで知識のあるところが猫猫そっくり!

遊郭を仕切るやり手婆は、猫猫を緑青館で働かせる野望は持ちながら、親しく接しています。

そんな華やかでパワフルな花街の登場人物の中でとくに気になるのは、猫猫が会うのを拒む女。

『薬屋のひとりごと』5巻

梅梅や養父たちに促され、見舞いにきた猫猫。緑青館の人たちが知っているということは、おそらく元は妓女だったのでしょう。猫猫との関係は良好そうには見えませんが、休みの日にわざわざ見舞いを促される理由とは……?緑青館の人々にも注目してみてください。

本作の重要ポイントは「出生」。壬氏の出生とともに、猫猫の出生も謎に包まれています。誰から生まれたのか、いつ生まれたのかが分かると人間関係のややこしさが紐解かれていくでしょう。

漫画『薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~』は、複雑な人間関係を楽しむミステリー!

嫉妬や策略の入り乱れる後宮という狭い世界で起こる事件に、猫猫たちが挑むのが『薬屋のひとりごと』です。

マイペースな猫猫と壬氏のラブコメのようなやり取りだけでなく、ドロドロの人間関係から起こる事件や謎を楽しめます。壬氏や猫猫も出生に謎があり、その他にも怪しい人物がたくさん登場します。1シーンも見逃さないように注意して楽しみましょう。

本作は、無料のスマホアプリ「マンガワン」にて連載中です。1日8話読むことができるので、ぜひ気になった方はアプリをインストールしてみてくださいね。下のボタンからもインストール可能です。