マイナンバー「通知カード」は使えなくなる?マイナンバーカードを持ってない場合に生じる不都合なこと

2020年5月25日にマイナンバー「通知カード」が廃止となりました。

マイナンバーカードの普及率は低く、通知カードにもマイナンバー(個人番号)や氏名・住所が記載されていることから、「通知カードで充分」と思っている人が多数だったのではないでしょうか。

今回はマイナンバー通知カードは証明書類として使えなくなるのか、マイナンバーカードを持っていない場合今後生じる不都合などについて解説します。


そもそもマイナンバー「通知カード」とは?

マイナンバー制度が開始したのは、2016年1月1日からです。制度開始に先立って2015年10月中旬以降、全ての住民に対し「通知カード」が郵送されました。まだマイナンバーカードを作成していない人は、お手元に通知カードがあるはずです。

「通知カード」と「マイナンバーカード」の大きな違いは2つあります。

1つめは、通知カードには顔写真がついておらず、通知カードだけでは本人確認を行うことはできないのに対し、マイナンバーカードには顔写真がついていて、マイナンバー(個人番号)の確認と本人確認を1枚で行えることです。

2つめは、「マイナンバーカード」はプラスチック製で、ICチップがついていることです。ICチップに「電子証明書」が搭載されているので、オンライン上でも身分証明書となります。

このようにマイナンバーカードの方が便利には違いないのですが、交付には申請手続が必要なこと、本人確認であればいままで通り運転免許証やパスポートなどで代用できること、さらに、オンライン上での身分証明の機能もなかなか出番がなかったため、わざわざマイナンバーカードを交付しなくても不便がなかったので、通知カードを受け取ってそのままになっている人が多いのです。

マイナンバー「通知カード」が廃止、記載事項に変更が生じた場合はマイナンバーの届出に使用不可

今回の通知カードの廃止による大きなポイントは、通知カードの住所や氏名などの記載変更ができなくなったことです。では、いったいどんなときに困ったことが起こるでしょうか。

通知カードは、ひとりひとりにマイナンバー(個人番号)を通知するためのカードですが、マイナンバー(個人番号)を証明する書類としても使用ができます。最近では、銀行で取引をするときや、確定申告をする際にマイナンバー(個人番号)の届け出を求められますが、このとき通知カードでマイナンバー(個人番号)を届け出ることが可能です。

しかし、2020年5月25日以降に「通知カード」の記載事項(氏名・住所など)に変更が生じた場合は、通知カードはマイナンバーの届出に利用ができなくなります。この場合は、マイナンバーカード、またはマイナンバー(個人番号)が記載された住民票の写し、住民票記載事項証明書を提出しなければいけません。

コンビニで住民票の写し等を取得できる自治体もありますが、そのときにはマイナンバーカードが必要となるので、マイナンバーカードを持っていない場合は、住民票の写しを取得するために役所の窓口へ行くか、郵送などで取り寄せなければなりません。住所や氏名に変更がない場合は、引き続き2020年5月25日以降も通知カードがマイナンバー(個人番号)を証明する書類として使用できます。

マイナンバーカードの交付までには時間がかかるので注意

2020年4月20日に特別定額給付金が国から支給されることが決まってから、マイナンバーカードの交付申請数は急増しました。2020年1~3月の1日あたり平均申請件数は約2.4万件だったのに対し、4月21日の申請件数は約5.8万件。4月20~28日の平均申請件数は1日約4万件と3月以前の約1.6倍に増えました。

しかし交付率で見てみると、総務省の調べでは2020年6月現在16.8%となっています。2020年4月1日の交付率が16%だったのに対し、この2か月で0.8%しか増えていないことから、マイナンバーカードの普及率の低さとともに、多くの人が申請してからまだ交付を受けていないことがわかります。

総務省の案内では、マイナンバーカード申請から交付までの期間を概ね1ヶ月と案内していますが、特別定額給付金を早く受け取りたいという駆け込み申請が急増したため、交付までさらに時間がかかるのではないかと言われています。

今回は、特別定額給付金をなるべく早く受け取りたい場合マイナンバーカードが必要になったため、さらにカードの交付にも時間がかかるという現象がおこったのです。

通知カードを失くしてしまっている場合、さらに時間がかかる?

マイナンバーカードの交付手続きには、通知カードの下についていた「交付申請書」が必要です。この交付申請書についていたQRコードを利用することで、マイナンバーカードの申請方法の選択肢が広がります。たとえば、役所の窓口に行く必要がなく、交付までの時間を短縮できるスマートフォンやパソコンを使ったオンライン申請や、証明用写真機などからの申請が可能です。

もし、交付申請書を失くしてしまっている場合、ダウンロードや取り寄せが可能ですが、マイナンバー(個人番号)を記入する必要があります。上部についていた通知カードも失くしている場合、自分のマイナンバー(個人番号)を確認するために、住民票などを取りに役所に出向く必要があります。

なお、2020年5月25日にマイナンバー通知カードが廃止になったことで、通知カードが再発行されることはありません。

マイナンバーカードがないと最大還元率は25%のマイナポイントは受け取れない

現在のところ、普及率の低いマイナンバーカードですが、キャッシュレス決済とマイナンバーカードを普及・促進するため、2020年9月から2021年3月末までの約半年間、「マイナポイント事業」が開始される予定です。

「マイナポイント」とは、キャッシュレス決済事業者の決済サービスを利用(チャージや購入)した際に、利用額に応じて、次回の買い物等に利用できるポイントが決済事業者から消費者にポイント付与される仕組みです。

未定の部分もありますが、ポイント付与率はチャージ額または購入額の25%、上限5,000円分ということが決まっています。付与を受けるにあたっては、「マイキーID」を作成する必要がありますが、その際にマイナンバーカードICチップの身分証明機能が活用される予定です。期間限定とはいえ、メリットの大きい施策となりそうですが、マイナンバーカードを持っていないとポイントを受け取ることができません。

より具体的に施策の内容が明らかになったとき、マイナンバーカードの交付申請手続で再び駆け込み申請が起こるかもしれません。加えて事業の期間が約半年しかないので、すぐにでもマイナンバーカードの交付を受けたほうがよいでしょう。

マイナンバーカードを持ってない場合に生じる不都合なこと まとめ

これからもっと便利に?

今回は、マイナンバーカードを持っていない場合、起こる可能性のある不都合について説明しました。それでも、「特別定額給付金を受け取った」「マイナポイントの事業も約半年の期間限定だし」と、マイナンバーカードの作成を先送りする人もいるかもしれません。

しかし政府は、マイナンバー(個人番号)と銀行口座を紐付ける「国民1人について1口座、マイナンバー(個人番号)の登録を義務化」することを目指しています。

例えば、特別定額給付金のように、今後災害などが発生し給付金が支給されることになった場合は、登録された銀行口座に給付金を支給する仕組みです。その申請の折にも、マイナンバーカードを持っていた方が早く手続きできる可能性も考えられます。

また、2021年3月からは健康保険証としても利用できる予定で、より利便性が上がると考えられます。まだ通知カードのままの人は、マイナンバーカードの交付をこの機会に検討してみてもいいかもしれません。

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