今年は猛暑の予想!梅雨明け前に買い揃えておきたい商品5選

気象庁発表の3か月予報によると、今夏の気温は全国的に平年並か高めで、猛暑の可能性が高くなっています。

気象条件と物の売れ行きの関係分析を得意とする流通気象コンサルタントの観点から、特に注目すべきカテゴリを5つ選んでみました。

今回は関東の気象データと購買データで見ていきます。


7月以降、気温が例年より高くなる可能性

今夏の猛暑予想を見据えて、真っ先に買い揃えておきたい商品は、やはり熱中症対策関連のものです。昨年(2019年)は7月が関東甲信以西の各地で長梅雨傾向となり気温が平年並か平年より低めで、図1のとおり、スポーツドリンクの購入数が大きく増加する時期が一昨年(2018年)に比べて遅くなりました。

今年(2020年)は7月から各地とも気温が平年並か高めの予想となっているため、少なくとも7月は昨年よりスポーツドリンク需要が高くなるものと考えられます。

購入数と気温の関係から、どのくらいのタイミングで購入数が大きく伸びるか確認するために示したものが図2です。最高気温が20℃を超えるあたりから気温上昇とともに購入数の伸びがみられ、最高気温が30℃を超えると購入数の伸びが大きくなっています。最高気温の週平均値が30℃を超える時期からは特に、家庭内に一定量の在庫をキープしておきたいものです。

なお、スポーツドリンクと同じような目的で購入される塩分補給のための飴や経口補水液も同様に買い揃えておくと良いでしょう。

図1 スポーツドリンクの購入指数と気温の推移(2018年、2019年)

※2019年は長梅雨などの影響で7月の気温が平年を下回ったため、2018年に比べて購入数のピークが後ろ倒しになっています。

図2 スポーツドリンクの購入指数と気温の関係(2018年、2019年)

※おおむね30℃以上の温度帯で購入数の伸びが一層大きくなっています。

夏休み期間の短縮で登下校時の熱中症に注意

ネッククーラー・冷却タオルは、当社の分類で「熱冷却用品・用具」のカテゴリに属します。他にも冷却ジェルシートや、氷のう、冷却スプレーなどが該当します。発熱時の対処需要もありますが、夏場は、高い気温や強い日射しによって上昇した体温を下げる目的で購買されます。

熱冷却用品・用具の購入数と最高気温の関係を図3で確認すると、スポーツドリンクと似た形状ですが、熱冷却用品・用具の方が、30℃に達した後の気温上昇にともなう購入数の伸びが大きく、一気に売れる傾向です。最高気温の週平均値が30℃になる頃には買い揃えておきたいところです。

特に今年は、緊急事態宣言の発出にともない、休校措置がとられた多くの学校では、夏休み期間を例年より短縮するようです。普段なら夏休み期間である7~8月に学校に行くということは、炎天下の登下校が増えることです。

登下校時、帽子をかぶるだけでなく、ネッククーラーや冷却タオルなどを着用するなどの熱中症予防を心がけましょう。

図3 熱冷却用品・用具の購入指数と気温の関係

※おおむね30℃以上の温度帯から一気に購入数の伸びが大きくなっています。

UVケア商品の購入は例年の4割ほど

3つ目の注目カテゴリは、UVケア用品です。UVケア用品は、季節の進みとともに気温が上昇していく時期(おおむね2月から7月)に、気温や日照時間の影響を受けて購入数が増減します。例年、4月頃から購入数が増えていきます。その頃から、本格的な屋外レジャーシーズンが始まるのに加えて、太陽高度が徐々に高くなることで地表面に降り注ぐ紫外線量も増えていくためです。

しかしながら今年の場合は、2月以降の新型コロナウイルスに関連した外出自粛要請等によって、UVケア用品の購買動向が少し異なっています。図4のように、2月半ば以降の購入指数の伸びが、2018年、2019年に比べると明らかに小さくなっています。当社調べでは大型連休直前の4月下旬、UVケア用品の購入数は2018年、2019年の平均水準の約4割にとどまっています(参考記事:「気象&購買データから見た“外出自粛”の影響」)。

梅雨明け前に準備しておきたい

5月下旬までに緊急事態宣言は全ての地域で解除され、6月には都道府県をまたいだ移動の自粛も緩和されましたが、その間に各地では梅雨入りが発表されました。梅雨期間中は曇や雨のぐずついた天気の日が多く、地表面に降り注ぐ紫外線量が減少するため、例年UVケア用品の購入数が一時的に停滞します。

今年、結局まだUVケア用品をしっかり買い揃えていない家庭もあるのではないでしょうか。直近でUVケア用品の購入数が急増しそうなタイミングの目安の一つが梅雨明けの発表です。梅雨が明けると晴天が続きやすくなるため、日照時間が増えることで需要が急激に高まります。

場合によっては、需要の急激な集中により一時的に店頭在庫に欠品が発生する懸念があります。梅雨明け前の7月上旬には是非とも買い揃えておきたいところです。

図4 2018~2020年の1~5月のUVケア用品の購入指数と気温の推移

※2020年(紫色)の購入指数は、明らかに2018年(緑色)、2019年(赤色)と比べて下側に離れており、購入数の伸びが小さいことが分かります。

虫よけ薬は例年より使う量が増える?

虫よけ薬も気温に敏感に反応して購入数が増えるため、夏場に向けて買い忘れないよう心掛けたい商品です。図5は、縦軸を購入指数(週合計値)、横軸を気温(日最高気温の週平均値)として、両者の関係を散布図に示したものです。

図を見て分かることは、最高気温が20℃を超える4月頃から7月にかけて、気温の上昇とともに購入指数が右肩上がりに伸びています。今夏の気温が平年に比べて高めということは今年の7月も購入指数が例年に比べて高くなることが予想されます。

特に今年は、在宅リモートワークという働き方の浸透により、1日じゅう家に誰か人がいる、というケースが増えるのではないでしょうか。家の中に虫が入ってこないように虫よけ薬を使うニーズも増えそうです。

また7月、8月も学校への通学機会が増えるため、朝の登校前に虫よけ薬を使用するなど、例年に比べてその消耗が激しくなる可能性があります。気づいたら使い切っていたということがないように、常に家庭内の在庫状況をチェックしておきたいものです。

図5 虫よけ薬の購入指数と気温の関係

※4月頃(灰色のプロット)の最高気温20℃を超えるあたりから7月(桃色のプロット)にかけて、気温上昇とともに購入指数が右肩上がりに増えています。

夏場も「マスク着用」の時代に

例年と異なる傾向として、今夏の需要で注目される最大のポイントは、マスクです。通常であれば、図6のとおり、マスクは気温が低い冬場に購買指数が高く、気温が高い夏場に購買指数がやや低くなっています。

しかしながら、これからのwithコロナの生活では、マスクの需要が高い状態が続くことでしょう。事実、国内のドラッグストア及びスーパーマーケットでのマスクの購入数は、新型コロナウイルス感染が拡大し始めた今年1月下旬から、急激に増加しました。

2月以降は全国で顕著な品薄になり、購入数は前年の水準を下回る状態が続きました。それが、4月半ば頃からは、供給量が増えたこともあってまた前年を大きく上回る購入数となりました(図7)。

なお猛暑下でのマスク着用は、熱中症のリスクが高まることが指摘されています。熱中症の発症リスクを下げることを考えれば、最近各社が通気性を高めるなど工夫を凝らしたマスクを販売していますので、このような夏向けマスクもあわせて使ってみてはいかがでしょうか。

図6 マスクの購入指数と気温の関係(2018年、2019年)

※2019年までは、気温が低いほど購入数が多くなる、はっきりとした関係がありました。

図7 1~5月の、マスクの購入指数と気温の推移(2018、2019年と2020年との違い)

※2020年は4月半ば頃からまた購入数が増加傾向にあります。


データ出典:株式会社True Dataのドラッグストア版パネルデータのうち、全国の傾向を代表して関東エリアのものを掲載しています。購入指数は当該カテゴリの1店舗あたり購入数の週合計値を、2018~2019年の2年間平均に対する割合で示したものです。気象データは関東エリアの代表地点として、東京の気象観測点のものを用いています。

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