旭川から林業再興へ 育てろ!森のスペシャリスト

けいナビ

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今週のテーマは、林業。北海道の森林面積は全国トップの22%。北海道の林業は今、どのように作業を行っているのか。まずは現場を取材した。

オホーツクの紋別市にある佐藤木材工業。本社の敷地面積は、札幌ドームとほぼ同じ。北海道有数の木材の産地、オホーツクエリアの中核企業だ。全長100メートルほどの木材自動選別機。丸太の太さをセンサーが自動的に計測し、太さごとに分けていく。これだけ大きな機械なのに、オペレータは1人だけ。さらに、機械化は森林での作業でも進んでいた。

目の前に現れたのは、全長10メートル以上ある「ハーベスタ」と呼ばれる機械。林業王国のフィンランド製で、日本には数台しかない。かなり傾斜のある斜面を当たり前のように進んでいく。自在に伸び縮みするクレーンの先にあるヘッドで木をつかむと、ヘッドの下にあるチェーンソーが自動で木をカット。望む方向に木を倒すことができる。さらに倒れた木を引き寄せ、枝の部分を自動的にカット。カットする長さは、希望の長さを入力すれば自動的に行ってくれる。あっという間に丸太が完成。

北海道の人工林に占める木の種類の割合は、トドマツとカラマツが全体の80%に上る。そのトドマツとカラマツが植えられた時期は40年前から50年前が多く、木材として使うのに最適な時期を迎えている。

一方で問題となっているのが、林業従事者の高齢化。機械化が進んでいるにせよ、操るのは人。年齢層は50代以上が多く、後継者の育成が急務だ。

ことし4月に旭川の林産試験場の敷地内に開校した「北海道立北の森づくり専門学院」。新型コロナウイルスの影響で、先月1日から通常授業が始まった。第1期生の学生は34人。入学資格は40歳以下、林業を志す人ならだれでも学べる。学生は北海道出身者にとどまらず、日本中から集まっている。

学院は2年制で、林業のスペシャリストを育成すべく、林業にまつわる14の資格を取得できる。同様の学校は全国に18校あるが、全国で初めて導入した授業もある。その1つが「海外製シミュレーター」。一見ゲーム機のようだが、本物の機械と同じ動きをするため、操作を覚えられる。

また、北の森づくり専門学院は、林業の本場フィンランドで先進の知識や技術が学べる「リベリア林業専門学校」と国内で初めて連携協定を結んだ。北欧のフィンランドは、林業がGDPの4%を占め、林産物の輸出が全体の20%。機械化が進み、最先端のスマート林業が展開されている林業大国だ。リベリア校は最新の林業機械の操作など林業の基礎を学べる世界有数の学校で、北の森づくり専門学院は週に数回、リモートで結び、この学校の教育プログラムを取り入れている。

さらに、産業界との緊密な連携も特徴だ。去年10月、北の森づくり専門学院の開校に合わせて誕生した「北海道林業・木材産業人材育成支援協議会」。林業協会など15団体が参加する、次世代の人材育成を目指す組織だ。これだけ大規模に産業界が支援に乗り出し緊密に連携できるのは、北海道ならではだという。

第1期生として入学した亀山陽司さん。出身は兵庫県。亀山さんは東大大学院を卒業後、外務省に入省。在ロシア日本大使館、ユジノサハリンスク総領事館などで勤務し、約10年間ロシア外交に携わった元外交官だ。ことし3月に退職し、林業を学ぶため、縁もゆかりもない北海道に家族と共に移住した。

亀山さんは外務省退職後、雑誌などでロシア外交に関するコラムを執筆しながら生計を支えつつ、林業を学んでいる。亀山さんは「森林とか植物とか生態系の営みに関心があって、そういったものを生かして何かを作っていくという人間の営みにチャレンジしてみたい」と話す。

人材育成と同時に必要なのが、北海道産木材の活用・販路の拡大だ。そこで注目されている新しい技術がある。林業事業者で作る北海道木材産業協同組合連合会は去年、北海道産木材を使った製品のブランド化を目指し、「北海道ウッド」というロゴマークを作り運用を始めた。内田副会長 は、「北海道の木造住宅に使っている中の北海道産の木材の割合は、2割くらいしかない。『CLT』という新しい技術によって、都市の木造化にチャレンジするチャンスが出てきているんじゃないかと思う」と話す。

板の木目を同じ方向に重ね合わせると左右にかかる力には弱い。しかし、互い違い、90度ずつ木目の方向を変えて重ね合わせることで、どの方向からの力にも強くなる。それがCLTだ。ドイツで誕生したこのCLT。海外ではその強度を生かし、10階以上の高層の建物も造られている。高層でも鉄骨を使わない分、重量が軽いため建物全体の強度は増すという。

北海道の林業の未来には、人材・技術の両方の成長が必要だ。
(2020年7月18日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)
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