「コンセプト」「屋号」「キャチフレーズ」「メニュー」……プチ起業の成功は9割準備で決まる

新型コロナウイルスはまだ収まってはいませんが、世の中の飲食店も営業を再開したので、この連載も本編を再開。今回はパン屋さんやカフェを実際にやるときに準備するべきことについて、具体的にお話しします。

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予想しなかった事態が起きても「志」でお店が継続できるか決まる

この連載は、週末プチ起業的なカフェやパン屋さんのはじめ方をお伝えしているのですが、3月から新型コロナウイルスに関連した緊急事態宣言が発令されたため、プチ起業家のみなさんがどう対応したかをお知らせする特別編を2回にわたって書きました。

そして、その前の3月の回では、プチ企業でパン屋さんやカフェをやる上で一番大切なこと、「志」(こころざし)について書きました。

今回のような、誰も予想しなかった事態が起こったときにも、「志」がしっかりしているかどうかで、お店を継続できるかが決まるような気がします。私は自分もアレルギーがあるので、アトピーやアレルギーのある子どもたちに、おいしくて美しいお菓子を食べてもらって笑顔になってもらうことを「志」にしています。

新型コロナウイルスで子どもたちは学校に行けない状態が長く続きました。お母さんたちは、子どもたちの食事やおやつを毎日作らなければならないので、大変だったと思います。アレルギーのある子どものごはんやお菓子を用意するのは、さらに苦労したはず。

ウイルスによる外出制限という状況は、今後も繰り返される可能性があります。私は、アレルギー対応のお菓子を提供するだけではなく、簡単においしく作れる方法を伝えていくことも私の使命!と志を新たにしました。

みなさんも、3月の記事でそんなふうに「志」を心に刻んだと思いますので、いよいよ今回は、パン屋さんやカフェを実際にやるときに準備すべきことについて、具体的にお話しします。

私たちが週末カフェをはじめたときはいろいろと手探り状態で、「あれがない!」とか「こんなのがいるよねえ」とやってみて、初めて気がついたことがいっぱいありました。今回のお話が、みなさんがプチ起業するときのスタートマニュアルになればいいな、と思いながら書いてみます。

コンセプトを考えよう

最初のコンセプト

一番初めに考えておくべきこと。それはお店のコンセプトです。世の中にはすでにたくさんのお店が存在します。そんな中で、新しくあなたがお店をはじめるのです。なので、そのお店がこの世界に必要な理由を考えることが大事です。

「私がこのお店をやることで、世の中にどんないいことが起こるだろうか」

今の時代、どこにもないまったく新しいものというのはなかなかありません。でも、あなたがやりたいと思ったことは、何かあなただけのオリジナリティがあるからですよね。それをキチンと言葉にして、書き出してみましょう。

もし7つぐらい書き出して出せたら、それは相当しっかりしたコンセプトをお持ちだと言えます。7つは無理でも、最低3つぐらいは書き出しましょう。それが、あなたが新しくお店のキャッチフレーズになるのです。

ちなみに私たちのカフェ「天使の時間」のコンセプトは、以下の7つです。

  • 卵・乳製品・白砂糖不使用のスイーツを提供
  • 動物性食材不使用のヴィーガン料理を提供
  • アレルギーのある子どもが安心して選べるメニュー
  • 体の中から健康になる料理とお菓子
  • 心と体を癒せる時間と空間を提供
  • 赤ちゃんも食べられる無添加スイーツ「蒸しパン」
  • 大阪唯一の蒸しパン専門カフェ

冒頭の画像は、「天使の時間」の最初のロゴ。お洒落な感じで蒸しパンカフェを表現したくて作ったものです。

お店の“顔” 屋号とキャッチフレーズ

お店のコンセプトが決まったら、お店の名前「屋号」を作ります。屋号はずっと使い続けるものなので、自分の志とお店のコンセプトを反映させつつ、自分にしっくりくるものを考えましょう。

屋号で大切なのは、その「意味合い」「響き」。そして「ストーリー」です。屋号は、そのお店がどんな感じなのかを一言で表すものですから、言葉の意味や響きが、お客さんにどんなイメージで伝わるかを想像してつけることが大事です。

そしてさらに大事なのが「ストーリー」。お客さんから、このお店の名前、どんな意味があるの?と聞かれたときに、「実は……」とストーリーが語れるのは、あなたのお店の価値をお客様に伝えられるということ。ぜひ、ストーリーまで伝えられるような屋号を作りましょう。

私たちのカフェ「天使の時間」には、次のようなストーリーがあります。神様の使い、それが天使。人々が楽しく語らい、過ごすとき、天使たちもおしゃべりに加わって神様からのメッセージを伝えている、そんな時間と空間を提供するのが「天使の時間」です。

さて、屋号が決まったら、次はキャッチフレーズです。キャッチフレーズは、そのお店が何のどんなお店なのかを誰にでもわかるように説明するものです。

たとえば、「天然酵母パンとオーガニックコーヒーのお店」とか「三大アレルゲン不使用 手作りクッキーのお店」というような感じ。内容が具体的でオリジナリティがあればあるほど、そのキャッチフレーズはあなたのお店を必要としているお客様の心に届くのです。

天使の時間のキャッチフレーズは、以下です。

  • 卵・乳製品不使用! オリジナル蒸しパンと野菜たっぷりスープのお店
最初の看板では単に手作りを強調しただけの「蒸しパン」だが、次の看板ではセールスポイントの国産小麦、油や卵を使っていないことを加えている

メニューを決める

キャッチフレーズが決まれば、自動的にお店で提供するメニューも決まってきます。「オリジナル蒸しパンの店」とするのならば、主力メニューは蒸しパンです。なので、ここで決めるメニューとは、蒸しパンであれば、どんな蒸しパンを何種類ぐらい提供するか、ということ。自慢のパンやお菓子がたくさんあるかもしれませんが、その中からギュッと絞ってメニュー構成を考えましょう。

構成の考え方はいろいろあります。

  • 最も自信のある数種類を決めて定番メニューとする
  • 一押しの定番メニューを半分、残りは日替わりとか週替わりにする
  • 毎回、種類を変えてバラエティに富んだメニューにする

これが正解、というものはありませんが、週末カフェを7年間やってきた経験からアドバイスすると、3割を定番のものに、残りをその都度替えるのがいいかな、と思っています。常連のお客さんがついてくださるようになったとき、定番があると、まずはそれを買ってから都度替わったのものをお楽しみで選ぶ、ということができるので、お客さんも楽しんでもらえると思います。

天使の時間の蒸しパンラインナップ。このごろは「味わい蒸しパン」「米粉の蒸しドーナツ」を定番にして、それ以外をバラエティ蒸しパンとして日替わりで作っていました

メニュー構成を考えるのは非常に楽しい作業です。自分の思いがメニューに反映されるのです。スタート前にじっくりと考えましょう。

次回は、実践編として、実際に手を動かして用意するものを紹介します。

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