MotoGPの軌跡(10):2017年シーズン、最終戦までもつれたマルケスとドヴィツィオーゾのタイトル争い

 2001年までの世界GP(WGP/World Grand Prix)の略称で行われていたロードレース世界選手権。2002年から最高峰のバイクが4ストローク990ccとなり、シリーズの名称もMotoGPへと変更された。しかし、MotoGP初年度は2ストローク500ccマシンと4ストローク990ccマシンが混走する状況でのスタートとなった。2002年から2019年までの『MotoGPの軌跡』を連載形式で振り返っていく。

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2017年シーズンのタイトルを獲得したマルク・マルケス(ホンダ)

 2017年シーズンはマルク・マルケス(ホンダ)が連覇を達成した。マルケスは通算6勝の最多勝を記録したが、チャンピオンシップ争いではシーズン序盤の2回のノーポイントが響き、シーズン中盤までは追う立場だった。

 しかし、ようやく2勝目を記録した第9戦ドイツGPでランキングトップに浮上。第11戦オーストリアでマルケスとの接戦を制したアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)がマルケスを追い、第12戦イギリスではマルケスがマシントラブルでリタイアに終わったため、ドヴィツィオーゾがランキングトップに浮上するなど、チャンピオン争いは最終戦までもつれる接戦となった。

 ドヴィツィオーゾは最終戦までマルケスを追ったものの転倒を喫してノーポイントに終わり、ランキング2位となった。それでもマルケスに並ぶ通算6勝を記録するなど、ドゥカティが久しぶりにタイトル争いに加わったシーズンとなった。

2017年MotoGP:マーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)、ダニ・ペドロサ(ホンダ)

 開幕2連勝を飾り、シーズン序盤をリードしたマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)は通算3勝を記録したものの、ランキング3位に留まった。

 2勝を記録したダニ・ペドロサ(ホンダ)がランキング4位に続き、1勝に留まったものの、シーズン序盤はコンスタントに表彰台に立ち、第4戦スペイン終了時点までランキングトップにつけていたバレンティーノ・ロッシ(ロッシ)はランキング5位に終わった。ロッシはオフロードトレーニング中のケガでホームレースの第13戦サンマリノを欠場したが、続く第14戦アラゴンでは復帰した。

 MotoGPクラス1年目のヨハン・ザルコ(ヤマハ)がルーキートップ、インディペンデントチームトップのランキング6位を活躍。ドゥカティに移籍1年目のホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)は通算3回表彰台に立ったものの、勝利までには至らず、ランキング7位に終わった。

 また、この年からKTMがMotoGPクラスにレギュラー参戦。参戦1年目はポル・エスパルガロ(KTM)がランキング17位、ブラッドリー・スミス(KTM)がランキング21位だった。

■ドヴィツィオーゾは2年連続でランキング2位

 2018年シーズンはタイGPが新たに加わり、全19戦での開催となった。ただし、第12戦イギリスGPの決勝レースが、ウエット時の路面状態不良によりキャンセルとなり、決勝レースは全18戦で争われた。

 2018年もマルク・マルケス(ホンダ)が連覇を達成。この年、マルケスはシーズン9勝を記録。14戦で表彰台に立つ強さを見せ、第4戦スペインでランキングトップに浮上すると、そのままチャンピオンシップをリード。3戦を残した第16戦日本GPでMotoGPクラスで通算5度目、グランプリ通算7度目となるタイトルを獲得した。

 ランキング2位にはアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)が続いた。ドヴィツィオーゾは開幕戦を制し、第3戦アメリカズGPではランキングトップにつけていたが、第4戦スペインGP、第5戦フランスとノーポイントに終わりチャンピオン争いから後退。第10戦チェコGP、第13戦サンマリノGPで優勝し、ランキング2位に浮上するも、マルケスとのポイント差は大きく、前年に続いてランキング2位でシーズンを終えた。

 バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)はランキング3位を獲得したが、この年は未勝利に終わってしまった。マーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)も1勝に留まり、ランキング4位。アレックス・リンス(スズキ)は第2戦アルゼンチンGPでMotoGPクラス初表彰台となる3位を獲得。通算5回表彰台を獲得してランキング5位へと躍進した。

 そして、ドゥカティ2年目のホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)が、3勝を記録。シーズン中盤にはランキング3位まで浮上したが、終盤のケガによる欠場で、ランキング9位に留まった。ロレンソはこの年いっぱいでドゥカティを離れ、2019年よりレプソル・ホンダ入りすることになった。

MotoGP 2018年:中上貴晶(ホンダ)

 また、この年から中上貴晶(ホンダ)がMotoGPクラスに参戦。日本人ライダーのMotoGPクラス参戦は2014年の青山博一(ホンダ)以来となる。中上は初年度は最終戦バレンシアGPの6位をベストリザルトにランキング20位となった。

MotoGP 2018年:マルク・マルケス(ホンダ)

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