エクストリームE:名門チップ・ガナッシのラインアップ完成。北米オフロード6冠王者を起用

 2021年1月からの開幕がアナウンスされている、完全電動SUVによる独創的オフロード選手権『Extreme E(エクストリームE)』。そのシリーズに参戦表明した最新チームであるChip Ganassi Racing(チップ・ガナッシ・レーシング/CGR)は、選手権初のドライバー発表となった女性X Gamesメダリスト、サラ・プライスに続きオフロード・レーシング・シリーズで通算101勝を誇る“帝王”カイル・ルデュックの起用をアナウンスした。

 新たなスタイルを標榜するこの新生EVオフロード・シリーズは、気候変動や環境問題によって大きなダメージや悪影響を受けている世界中の過酷な環境を舞台に全5戦で争われ、各地域をまたぐベース基地として元貨客船を改装した“フローティング・パドック”を採用する。

 Arctic(北極圏)、Glacier(氷河)、RainForest(熱帯雨林)、Desert(砂漠)、そしてOcean(海洋)に対応する5つの開催各国では、当地の環境保全活動を啓蒙するアクティビティを予定し、エクストリームEがビジョンに掲げる「人間の干渉の影響を浮き彫りにし、環境の保護と地球の保護に役立つEVの市場浸透を促進する」ことがおもな狙いとされている。

 そのレースフォーマットにも独自のスタイルが導入され、チームは“ジェンダーフリー”を目指して男性と女性のドライバー1名ずつで構成。ドライバーとコドライバーとして2周のレースごとに550PSを発生するワンメイクEVマシン『ODYSSEY 21』を乗り換え、1ラップずつドライブする形式が予定されている。

 このシリーズにプライスとともに挑むことが決まった38歳のルデュックは、幼少期に弟とともにMTBのダウンヒル競技で頭角を現し“The Kid”の愛称を得た。

 その後、20歳でオフロード・レーシングの世界に進出すると、2003年から2年連続で2輪部門のチャンピオンを獲得。そして2008年の4輪転向後は、アメリカを代表する“Lucas Oil Off Road Racing Series (LOORRS)”で、最高峰Pro-4クラスで4度、チャレンジカップで3度、そして2度のドライバー・オブ・ザ・イヤーを獲得するなど、シリーズの盟主として君臨している。

北米のオフロード・レーシング・シリーズで通算101勝を誇る”帝王”カイル・ルデュック
トップカテゴリーのPro4のみならず、プロライトやジュニア部門でも数多くのタイトルを手にしてきた

 また、2016年には“バハ1000”にも参戦するなど、トロフィー・トラックにも挑戦。初参戦で5位入賞を果たすなど、オフロード・ドライビングの第一人者としてその名声を欲しいままにしてきた。

「世界初の完全電動オフロード・レースカーをドライブできるだけでなく、モータースポーツ界のビッグネームであるチップ・ガナッシの一員としてシリーズに参加できる機会にワクワクしている。彼のために戦えるのは本当に光栄だ」と、北米を代表する名門チーム加入の喜びを語ったルデュック。

「新しいチームメイトのサラ・プライスと一緒に働くことも楽しみにしている。この新シリーズの前例がない取り組みのいくつかは、関係者全員にとって大きなチャレンジであり、良いチャンスでもある。チーム全体での成功と勝利を目指して戦うのが、いまから待ちきれない気分だ」

 ルデュック起用を決めたCGRのマネージングディレクター、マイク・ハルも「カイルがチームに加わり、サラとチームメイトになることを本当に楽しみにしている」と期待を込めた。

「カイルは本当にクオリティの高いオフロード“オールテレイン”ドライバーだ。現時点でも彼はオフロードレースで101勝し、2019年を含め6度のタイトルを獲得している。彼は真のチャンピオンであり、レースの勝者であり、あらゆる地形でのドライビング・メソッドを体得している」

「彼はモンスターEVのステアリングを握るだけでなく、彼の持つ経験とノウハウを我々チームにもたらし、全体に良い影響を与えてくれるはずだ。彼がチップ・ガナッシ・レーシングに参加するのを心から楽しみにしている」

アンドレッティ・オートスポートに続き、北米から2番目の参戦表明を果たしたチップ・ガナッシ・レーシング
一足先に選手権初のドライバー発表となった女性X Gamesメダリスト、サラ・プライス

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