“歌う語り部”に 被爆2世アマ音楽家の北城さん 原爆テーマにCD制作

CD「夾竹桃」を制作した北城さん=長崎新聞社

 被爆2世のアマチュアシンガー・ソングライター、北城裕士さん(63)=長崎市かき道5丁目=が、被爆75年に合わせて平和への願いを込めたCD「夾竹桃(きょうちくとう)」を制作した。「“歌う語り部”として反戦のメッセージを伝えたい」と話す。
 北城さんの父、故岸川秀臣さんは戦時中、福岡県にあった旧日本海軍基地の飛行予科練習生だった。15歳で終戦を迎え、長崎市城山町の自宅に戻り入市被爆。
 「弟妹が自宅の縁側で将棋を指した姿で黒焦げになっていた」と父から当時の惨状を聞かされていた北城さんは、平和への思いを強く持ち、大学時代から反戦などをテーマに曲を作ってきた。現在は生命保険代理店業を営む傍ら、作詞作曲だけでなく、歌やギターなど全パートを自分で演奏し、CDを制作している。
 原爆や戦争で失われた命の尊さを歌った「夾竹桃」はフォーク調の穏やかな曲。「母から被爆当時の浦上には夾竹桃の花がたくさん咲いていたと聞き、着想を得た」という。「夢や希望も育てた愛も黒い雨に流された」と柔らかな歌声で被爆の悲惨さを訴える。
 カップリング曲は原爆の語り部たちにスポットを当て、昨年制作した「8月9日」。
 CDは1枚千円で販売。これまでに制作した4曲の反戦歌CDと同様、今回も売上金の全額を長崎平和推進協会へ寄付する。
 問い合わせは北城さん(電080.4318.3577)。

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