魅力的な地方大学への改革、ハードル高そう

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** 東京への一極集中傾向が続く中、安倍晋三総理は「カギは若者」との認識から地方の国立大学の定員増を図るとしたが、地方の国立大学のみならず、公立・私立大学の魅力づくりと地元就職の魅力づくりには高い壁がありそうだ。 **

 東京圏の大学進学者の28.2%(2019年)は東京圏外からの進学者。2015年から比較して1.8ポイント低減したが、それでも圏外からの進学者数は7万2000人を超えている。

 「まち・ひと・しごと創生基本方針2020(案)」では東京圏への転入超過数の大半を10代後半、20代の若者が占めているとし、東京圏への移動は進学・就職が大きなきっかけであることから、地方に魅力ある学びの場、働く場をつくり、地方へのひとの流れを大きくしていく必要がある、とこれまでの認識・方針に変化がない。

一方で「東京圏への人口転入超過が続いている上、近年は東京圏への転入企業数が東京圏からの転出企業数を上回っているとの調査結果もあり、東京圏には、人口、企業が集中しているとともに、通勤・通学時間の長さ・混雑等の問題が生じており、新型コロナ感染症が都市部を中心に拡大していることを踏まえ、都市部への人口集中・過密に伴うリスクを減少・回避することの重要性についての認識が広がってきている。さらに首都直下地震、富士山の噴火等の巨大災害が発生した場合を踏まえると、リスク・被害の軽減や国・企業のBCPの観点からも、東京圏への一極集中の是正を進める必要がある」と重要課題としている。

では地方の大学について「地域の特性やニーズを踏まえた人材育成やイノベーションの創出、社会実装に取り組む地方大学の機能強化を図ることが重要。若者を惹きつける魅力的な地方大学を実現するためには、このような地方大学の特色を活かした優れた取組みを重点的に支援することが重要」と指摘した。

そのうえで「地域の課題やニーズに適切かつ迅速に対応できる魅力的な地方大学の実現に向け、地方公共団体や産業界を巻き込んだ検討を行い、地方においても今後更にニーズが高まるSTEAM人材等の育成等に必要な地方国立大学の定員の増員、オンライン教育を活用した国内外の大学との連携等を盛り込んだ、魅力的な地方大学の実現とともに魅力的な雇用の創出・拡大のための改革パッケージを早急に取りまとめる」としている。

また「複数の高等教育機関と地方公共団体、産業界等が恒常的に連携する『地域連携プラットフォーム(仮称)』の構築」を図ることも取組みに入れている。

しかし、18歳から20代前半を東京圏の大学で学び・暮らすことから得られる日常の中での多様な付加価値に相当する部分を、これに代わる付加価値やそれ以上の魅力を提供しうる環境を創造できるのか、東京圏で学んだからこそ故郷の魅力を認識することにもなるわけで「魅力的な地方大学の実現とともに魅力的な雇用の創出・拡大のための改革パッケージを早急にとりまとめる」としているものの、首都圏の大学へ進学希望する高校生らの志向を変えるほどのものが打ち出せるのか、ハードルは高そう。(編集担当:森高龍二)