九州新幹線長崎ルートの未着工区間(新鳥栖-武雄温泉)の整備方式を巡り、佐賀県の南里隆地域交流部長は15日の国交省との2回目の協議で、同意を求められた環境影響評価(アセスメント)の手続き入りを拒否した後、記者会見に応じた。主なやりとりは次の通り。
-2回目の協議を終えて。
6月16日に同意できないと正式に回答したが、国交省から改めて説明したいと申し出があったのでお話をうかがい、佐賀県として改めて同意できないと回答した。また(国交省)鉄道局としてスーパー特急やフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の実現が可能との前提で(環境アセスの)具体的な工程の説明があったと受け止めている。次回以降の協議でFGTの実現についてしっかり議論したい。フル規格ありき、スケジュールありき、の議論には応じられないとの考えは一切変わらない。
-佐賀県内でも新幹線駅が整備される武雄市や嬉野市はフル規格を求めている。
地域や立場でいろんな考えがあるのは当然。西九州(長崎)ルートについて、佐賀県はFGTだから(建設に)ぎりぎり合意した。FGT(の実現)が難しいから、いきなりフル規格という話にはならないと思う。
-結果的にフル規格で整備することにはならず、武雄や嬉野の市民が落胆し、将来受けられる地域の利益が得られなくても仕方ないということか。
もともとはFGTの計画なので。最初からフル規格で造ると言っていてフル規格にならないということではないので、(その考え方は)違うと思う。例えば嬉野温泉は今までなかった鉄道の駅ができることで利益はある。逆に(並行在来線沿線の)鹿島市は(現在の特急本数が減るため)デメリットを受ける。
-(新幹線並み速度の)FGTの技術開発は国交省が困難としており、安全面が確保できていない。FGTを運行することは乗客を危険にさらさないか。
私は安全を大前提に話している。危険にさらせとは一言も言っていない。まだFGTが技術開発の途中というのであれば続ければいい。在来線と同じスピードであれば安全は確保できるのではないか。
-であれば、現在(長崎-博多間を)走っている特急かもめとあまり時間は変わらないのではないか。
武雄温泉駅での新幹線と在来線の乗り換えが不便という話があるので、それを解消する一つの手段としてそういうやり方もあるのではないかと言っている。いろんなやり方があるのではないかと申し上げている。
-国が断念したFGTの開発を推進し、運行させてほしいということか。
断念したという話は正式に聞いていない。
-正式に聞いていないとは。
説明を受けていない。
-長崎県は説明を受けたと言っているが、佐賀県だけが受けていないのか。
それは分からないが、少なくとも私たちはFGTが技術的に安全上問題があるので断念するという説明は受けていない。
-山口祥義知事が国交省から受けていないのか。
私たちが受けていない。
-私たちとは。
私です。
-きょう(15日)の協議でも国交省側は南里部長に説明していたのではないか。
初めて聞いた。そうしたことも含めて今後の協議の場でも説明していただいていい。幅広く議論していいのではないか。
-「幅広い協議」と言いながら、佐賀県はフル規格を排除しているように見える。
フル規格は受け入れられないとずっと申し上げているが、排除という意味ではない。