カズオ・イシグロ研究者ら国際学会 長崎の生家跡から中継 「庭は重要なもの」

イシグロさんの生家の跡地の庭を説明する加藤教授(右)と吉田さん(中央)=長崎市新中川町

 長崎市出身のノーベル文学賞作家カズオ・イシグロさんの国内外の研究者らが11日、ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使って国際学会を開催。都留文科大=山梨県=の加藤めぐみ教授(52)(英文学)は、イシグロさんが5歳まで暮らした長崎市新中川町の生家の跡地を現地から中継で紹介した。
 加藤教授によると、同学会は2007年からイギリスと日本で不定期に開催。今回は、コロナ禍に世界が直面した今、イシグロさんの作品を再読し危機から脱するヒントを得ようと、英ウルバーハンプトン大のセバスチャン・グルス教授らが緊急企画。世界各国から45人が参加した。
 加藤教授は以前、学会メンバーからイシグロさんの生家に興味があると言われたことをきっかけに中継を思い付き、研究も兼ねて来崎。約10分間、生家の跡地に住む吉田良三さん(69)と一緒に、庭の一部と灯籠は当時のままだということなどを伝えた。
 加藤教授は「長崎の路地や生家の跡地を世界に発信でき、さらに研究者らは興味が湧いたと思う。イシグロ研究において日本の存在感をアピールできた」。グルス教授は長崎新聞の取材に「生家の跡地ツアーは素晴らしかった。イシグロ作品において『庭』はとても重要なもの」と話した。


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