#スポーツのチカラ 大分県高校総体 カヌー 区切りをつけ、それぞれの道を歩む3年生

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 県高校総体カヌー競技は7校54人がエントリーした。最後の大会となる3年生が力を発揮し、500mで競われたカヤックシングル男子は近藤燎(高田3年)、同女子は大島沙耶佳(情報科学3年)が頂点に立ち、カナディアンシングル男子では中園太陽(高田3年)が優勝した。3者とも予選を1位で突破し、決勝レースでも持てる力を存分に発揮した。

 

 男子カヤックの近藤は大会2連覇で高校最後の公式戦を終えた。努力家で負けず嫌い。納得いくまで突き詰める練習の虫は、「辛いことも多かったが、試合に勝つ達成感を味わうことができた」とカヌーとの出会いに感謝した。中学までは陸上の長距離選手であったが、「チーム大分ジュニアアスリート発掘事業」の1期生として心肺機能が高く、無尽蔵のスタミナが評価されカヌーを始めた。経験こそ少ないが昨年は全国高校総合体育大会(インターハイ)に出場し、全国レベルを体感した。今年は全国での上位入賞が目標だったが、新型コロナウイルスの影響で断念せざるを得なかった。「仕方がない。今できることをこれからも続ける」と次のステップとなる大学での競技に向けて大会後も練習を続ける。

 

男子カヤックで連覇した近藤燎

 女子カヤックの大島も連覇達成。研究熱心で1、2年の頃から誰よりも長く水上に出て、「先輩たちの動きを観察した」。筋力もスタミナも飛び抜けてはいないが、体重移動や水のつかみ方が上手く、力みのないフォームで滑走する。昨年の茨城国体で入賞し、今年も全国での活躍が期待された。「やりきれない思いはあったけど周りの方々に支えられた。最後は全てを出しきった。後悔はない」と笑顔で話し、競技生活にピリオドを打った。

 

女子カヤックで2度目の優勝を飾った大島沙耶佳

 男子カナディアンの中園は中学の頃から国際大会出場経験はあるが、高校に入ってからは伸び悩み、スランプが続いた。猪突(ちょとつ)猛進、自分が決めたことは曲げない強さがあだとなり、「周りの声が聞こえなかった」と振り返る。そんな中園を一喝したのが1学年上の先輩の父親だった。「全力でこいでいるつもりだが、お前は100%の力を出せていない。自己満足で終わるつもりか」。本気で怒られ吹っ切れた。それからはアドバイスに耳を傾け、冷静に自分を見ることができるようになった。

 

 最終学年になってからは自覚も芽生え、後輩の見本となるようにと練習に取り組んだ。意志の強さは誰もが認める。道筋さえ誤らなければ天井なしに力は伸びる。今大会は圧倒的なスピードで他を寄せ付けなかった。高木宏通監督は「能力は高く、爆発力はある。ムラはあるが賢く気持ちをコントロールできるようになった。インターハイ、国体があれば日本一を狙えた」と悔やむ。高校日本一は成し遂げられなかったが、中園の目標はさらにその先にあった。「世界で戦える選手になりたい」。見つめる先は2024年のパリ五輪だ。

 

男子カナディアンで優勝した中園太陽

(柚野真也)