MotoGP初戦、第2戦スペインGPの初日を制したのは王者マルケス兄。ビニャーレスが2番手に続く

 約4カ月の延期を経て、MotoGPが再開した。“2度目の”開幕の地となったのは、スペインのヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエト。第2戦スペインGPとしてスタートした。3月上旬の第1戦カタールGPはMoto2クラス、Moto3クラスのみが行われ、そのためMotoGPクラスとしては、このグランプリが2020年シーズンの開幕戦である。7月15日に行われた公式テストを経て始まったスペインGP初日、制したのはマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)だった。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、多くのスポーツ同様、MotoGPも第1戦カタールGP以降、開催延期を余儀なくされた。7月17日時点では、全14戦の開催が予定され、日本GPを含む8戦が今季の開催についてキャンセル。タイGP、マレーシアGPについては、7月末までに開催可否が決定予定だとされている。

 こうして迎えた第2戦スペインGPは、無観客での開催。パドックに入ることができる人数は約1300人に制限され、ライダー、スタッフともにマスクやフェイスシールドを着用するなど、新型コロナウイルス感染症対策が敷かれている。

 初日のフリー走行1回目は、気温28度、路面温度35度のドライコンディション。現地時間9時55分にセッションが始まると、ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)を除くすべてのライダーがコースインした。

 ただひとり、クアルタラロがピットに残ったのは、20分間の走行停止というペナルティが科されたためだ。これは、クアルタラロが第2戦スペインGPを迎えるまでのトレーニングで使用したバイクが違反にあたるという判断を受けたもので、クアルタラロはフリー走行1回目の開始20分間ピットボックスで待機した後、コースインしている。

マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)

 最初に1分37秒台を記録したのはマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)だった。ビニャーレスは7月15日に同地で行われた公式テストで総合トップタイムを記録。今季のマシンについて、より突っ込んだブレーキングができるようになったとのコメントを出しており、手ごたえを感じている様子であった。そのビニャーレスのタイムを直後に更新したのはジャック・ミラー(プラマック・レーシング)で、開始8分でミラーがトップに立った。

 上位陣に大きな順位変動がないまま迎えた残り4分。マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が1分37秒350を記録してこのセッション初めてトップに立った。終盤にはビニャーレスがタイムを更新するもマルケス兄のタイムには0.024秒及ばず、マルケス兄がフリー走行1回目を制した。ビニャーレスは2番手。3番手には0.088秒差でカル・クラッチロー(LCRホンダ・カストロール)がつけた。

 水曜日の公式テストでは総合4番手だったアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)は4番手。ドヴィツィオーゾは6月末にモトクロスレース参戦中に転倒して左鎖骨を骨折。手術を受けたが、水曜日のテスト後には「バイクに乗っているときに痛みはないよ」と回復具合を語っていた。

 5番手についてたのはジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)。2019年シーズンの日本GP以来となるレースウイークを迎えた中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)はマルケス兄から0.779秒差の1分38秒129。ペナルティにより20分遅れでフリー走行1回目をスタートしたクアルタラロは、トップから0.895秒差の17番手だった。

 このセッションでは、1秒以内に19番手のティト・ラバット(レアーレ・アビンティア・レーシング)までが入り、超接戦のタイム差となった。

■FP2トップはペトロナスヤマハSRTのモルビデリ

 フリー走行2回目は、気温35度、路面温度51度までに上昇。常ならば5月上旬にスケジュールされ、路面温度40度前後で開催されるヘレスのスペインGP。7月開催となった今大会では、気温、路面温度の高さについてライダーの多くが懸念を口にしているところである。このフリー走行2回目は、日曜日の決勝レース時間とほぼ同時刻となる。レースを想定したタイヤチョイスも注目された。

 セッション序盤、トップに立ったのはクアルタラロ。開始8分にはアレックス・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が8コーナーでスリップダウン。マルケス弟は自分で歩いてピットに戻っている。20分を過ぎるころには2コーナーでマルケス兄が転倒。マルケス兄はマシンを起こし、走行を再開。レプソル・ホンダ・チームのふたりがこのセッションで転倒を喫することとなった。

 終盤までクアルタラロがトップをキープしていたが、残り時間5分を切ってフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)が1分38秒125をマークし、1番手に躍り出る。さらにルーキー、ブラッド・ビンダー(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)が3番手タイムを記録した。

 モルビデリはそのままこのセッションをトップで終え、2番手にはクアルタラロが続き、ペトロナス・ヤマハSRTの両雄がワン・ツーを占めた。3番手はビンダー。ポル・エスパルガロ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)が5番手につけ、KTMファクトリーライダーがトップ5以内に入った。転倒があったマルケス兄は4番手、フリー走行1回目で2番手だったビニャーレスは7番手だった。中上はトップから0.562秒差の11番手でフリー走行2回目を終えている。

 ライダーの多くはフロントにハードを選択していたが、リヤタイヤとしてはソフト、ミディアムなど選択が分かれた。また、ビニャーレスはフロント、リヤともにソフトを、モルビデリは後半の走行でフロント、リヤともにミディアムタイヤをセレクトしていた。

 初日総合としては、マルケス兄がフリー走行1回目で記録した1分37秒350がトップタイムとなり、2020年シーズンのMotoGPクラス初日を、2019年チャンピオンであるマルケス兄が制した。

© 株式会社三栄