死者の85%が高齢者 熊本豪雨2週間、避難の難しさ浮き彫り

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 熊本県南部を中心とした豪雨災害は、18日で発生から2週間。県内の死者は17日午後7時現在で65人に上るが、このうち65歳以上の高齢者は55人と85%を占める。自宅や入所している施設で見つかった人の多くは逃げきれなかったとみられ、高齢者の避難の在り方が改めて問われそうだ。

 年代別で最も多いのは80代の27人。60代12人、70代11人、90代8人などと続く。30代以下はいなかった。死者に占める高齢者の割合は、2016年の熊本地震時の68%と比べても17ポイント高かった。

 死因は、水死(疑い含む)が53人と最も多く、全体の82%。住民からは「ものすごい早さで水かさが増した」との声が相次いでおり、球磨川水系の氾濫による被害の大きさがうかがえる。

 高齢の死者55人中、7割の39人は自宅や入所していた施設の屋内外で発見された。

 このうち、高齢の入所者14人が亡くなった球磨村渡の特別養護老人ホーム「千寿園」では、入所者を2階へ避難させる途中で泥水が一気に室内に流れ込み、1階の天井近くまで達したとの証言がある。高齢者施設は県内の山間部にも多く立地し、避難の難しさが浮き彫りとなった。

 県南部は高齢化が進んでおり、高齢の死者が最多の23人に上った球磨村の高齢化率は、県内45市町村中で4番目に高い44・0%。9人の高齢者が亡くなった芦北町が42・8%で5番目に高い。犠牲者が出たほかの県南部の2市1町も、県全体の高齢化率30・6%を超えている。

 地域福祉論が専門の高林秀明・熊本学園大教授は、一般的に災害の被害は高齢者や障害者など社会的、生理的弱者に集中しやすいとした上で、「教訓とするには、どのように避難しようとしたのかや地域ごとの特性など、個々のケースについて可能な限り実態を検証する必要がある」と指摘した。

 死者65人のほかにも、17日午後7時の時点で芦北町天月の女性(90)と八代市坂本町中谷の男性(63)の2人が行方不明となっている。(太路秀紀)