森崎東監督死去 「記憶は愛」大事に 長崎県内 映画関係者惜しむ声

 長崎県島原市出身の森崎東監督の死去を受け県内の映画関係者からは17日、惜しむ声が上がった。
 遺作となった映画「ペコロスの母に会いに行く」は、認知症の母と息子のおかしくも切ないやりとりを通じ、厳しい戦後を生き抜いた女性らの半生と介護の哀歓を描いた。原作者の岡野雄一さん(70)は「驚きとともに大変残念に思う。『記憶は愛である』という言葉をとても大事にしていて映画のテーマにもなった」と振り返った。
 ロケ地選定などを受け持った県フィルムコミッションの横山亜津子さん(34)は「撮影現場で奥さまやスタッフに優しく接していた姿が印象深かった。カメラが回ると一変して顔つきが厳しくなり、映画人としての職人かたぎを感じた」とコメントした。
 県内の映画ファンでつくる長崎キネマ旬報友の会の江森孝則代表(67)は「劇中に登場するランタンフェスティバルや眼鏡橋など、長崎の風物詩や名所がシーンとマッチしていた。晩年に長崎を代表する映画を残してくれた」とたたえた。

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