杉野遥亮「あ、オレ俳優やるかも」 芸能界に入ろうと思ったきっかけ

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――いきなりですが、本当に背が高いですね…。身長はどのくらいですか?

185cmです。母親が170cmくらいあるので、遺伝なのかな…。小学校を卒業する時にはすでに165cmくらいだったので、昔から順調にデカかったですね(笑)。

――手足が長いから、何を着ても本当によく似合いますよね。出演されている『ハケンの品格』でのスーツ姿も素敵です。

ありがとうございます。

――自粛期間を挟んでの撮影再開とのことですが、現場の様子はいかがですか?

やっぱり自粛中は人と会えない期間でもあったので、撮影初日はみんなが誰かとしゃべりたがっている感じでしたね。僕自身も久しぶりに人と会って話せる喜びを感じましたし、「この仕事が好きだな」と改めて思いました。

――念のために説明すると、『ハケンの品格』は2007年放送の連続ドラマ。この時の杉野さんは、なんと11歳でした! 13年ぶりに復活する人気作の続編に新キャストとして参加するお気持ちは?

もともと母がこの作品のファンだったので、僕も小さい頃によくテレビで見ていたんです。なので、「まさか」という気持ちもありますが、プレッシャーは不思議と感じていません。あの頃とは時代も働き方も変わっていますし、今の自分と同世代の社会人が感じていることを、僕なりに伝えられたらなと思っています。

――杉野さんの演じる井手裕太郎は、親戚のコネを使って入社してきた新入社員という設定。仕事への意欲や目標があるわけでもなく、上司からの誘いにも後ろ向きな姿はまさに「イマドキの若者」という印象ですが…。

いわゆる「ゆとり」とか「さとり」と言われる世代ですよね。確かにこういう新入社員が実際にいたら嫌かもしれませんが、一方で、僕自身は井手の素直な生き方に共感する部分も多いんです。

――というと?

やっぱり自分の気持ちが追いつかなければいい仕事もできないし、「それは仕方ないよな」って。そういうストレートな本音がつい表に出てしまう人なんでしょうね、井手は。第3話で彼が「はあ、会社ってなんで毎日やるんだろう…」とつぶやくシーンがあるんですけど、僕はもう「愛おしいな、この人」と思って(笑)。

――愛おしい、ですか。

本当は面白い人ですよ、たぶん。意図せず他人のことを傷つけてしまうこともあるけれど、自分に正直に生きているし、嘘がないし、だからこそ人に愛されるというか。

――そういう生き方を羨ましいと思いますか?

羨ましいし、似通っている部分もあると思います。僕の場合は、本音を隠そうとしても顔にすぐ出てしまうところがあって。良くも悪くもですけど(笑)。いろんな人がいていいし、みんなが自分の気持ちに正直に生きられたらもっといい世界になるのにな、と思うこ
とも。難しいですけど、この作品を通じてそんなメッセージも伝えられたら嬉しいですね。

――そもそも、芸能界に入ろうと思ったきっかけは?

変な話、小さい頃にテレビドラマを見ていて、「あ、オレ俳優やるかも」と、漠然と思ったことがあったんですよ(笑)。でもその時は全然本気じゃなくて、建築家とかプロバスケットボール選手になりたいと思ったこともありました。そうしてフラフラしているうちに、大学受験で自分の第一志望の学部に入れなかったことで、何を目標に進めばいいかもわからなくなってしまった。そんな時にふと思い浮かんだのが俳優で。そもそも僕、時間に縛られるのがとにかく苦手なんですけど、この仕事はそういうイメージがあまりなかったので、そこも魅力的だと思いました。

――なるほど、働き方に魅力を感じて(笑)。人前に出るのは、昔から好きだったんですか?

子どもの頃から目立つのは好きなほうでした。ただ、どこか人目を気にするようになってからは、自分でもよくわからなくなってしまって。正直、芸能界に入ってからも、「なんでこの仕事をやってるんだろう…」と思ってしまった時期がありました。

――えっ、それはいつ頃ですか?

意外と最近です(笑)。「演技が上手くなりたい」とか「この作品で知名度を上げて…」とか、目の前の目標に向かって進むことは必要だと思うんですけど、僕の場合、“自分自身のために”というよりも“誰かのために”頑張ったほうが、より幸せを感じられると思って。でも、そのことをいつの間にか見失っていたんです。自分が「こうしたい」という思いと裏腹に動いている感じがして、自分自身に腹が立っていたのかもしれません。

――“誰かのために”というのは、自分の周りの人だったり、ファンの方だったり?

そうですね。自分の「楽しい」の根底にあるのは、誰かが喜んでくれることであり、人に何かを与えること。それに気づけたのは、本当にこの1~2か月の話です。

――まさに自粛中の気づきですね。

ほとんどの人がそうだったと思うんですけど、この期間は自分自身について考えざるを得なかったというか。おかげで、ようやく整ってきたような気がしています。

――他にも気づいたことが?

僕、昔から自分のことを“一人が耐えられない寂しがり屋の人間”だと思っていたんですけど、「意外と一人でもいられるかも」と(笑)。今思うと、自分という存在がちゃんと定まっていなかったから、誰かに会って確認したかっただけなのかもしれません。でも今は自分の中に一本の軸が通った気がしているので、これからは僕なりの主観を大事にして、少しわがままに見えても自分自身の気持ちで動くことを優先してみようと思っています。こういう考え方になってまだピヨピヨなので、正解はわからないですけど…でも今、とにかくワクワクしています。

すぎの・ようすけ 1995年生まれ、千葉県出身。2015年に「第12回FINEBOYS専属モデルオーディション」でグランプリを獲得し、芸能界入り。数々の映画やドラマに出演し注目を集めるほか、最近は松坂桃李さんや菅田将暉さんらと共演する洗濯用洗剤のCMでも話題に。出演映画『水上のフライト』『東京リベンジャーズ』が公開待機中。

シャツ¥23,000 パンツ¥34,000(共にスロウ/ファブフォー TEL:078・327・8285) サンダル¥35,000(セモー TEL:03・6451・0705)

杉野さんが出演する『ハケンの品格』は日本テレビ系で毎週水曜22:00~放送中。篠原涼子さん演じる一匹狼の最強ハケン社員・大前春子が13年ぶりに大活躍。大泉洋さんや小泉孝太郎さんなどオリジナルキャストに加え、今回は新たに山本舞香さん、吉谷彩子さんらが仲間入り。スピンオフドラマ『ハケンの珍客』もHuluにて配信中。

※『anan』2020年7月22日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・二宮ちえ ヘア&メイク・松田 陵(Y’s C) インタビュー、文・瀬尾麻美

(by anan編集部)