大声自粛でも鳴り響く拍手“4950人の奇跡”まであと一歩 ラミレス監督「大きなサポート感じた」

DeNAのアレックス・ラミレス監督【写真:荒川祐史】

4点ビハインドも9回2点差に迫る、一打同点のシーンに拍手は大きくなっていった

■巨人 4-2 DeNA(18日・横浜)

DeNAは18日、本拠地横浜スタジアムで行われた巨人戦に2-4で敗れ、4連敗を喫した。だが、今季初めてハマスタに観客を入れたものの、不完全燃焼の6回終了時降雨コールド負けに終わった前日17日とは大違い。9回には観客の声援に背中を押され4連打の猛攻をみせた。

シャン、シャン、シャ、シャ、シャ……。最終回の攻撃を迎えると、観客はリズムを合わせてシンプルに拍手を打ち鳴らし、球場はこれまで味わったことのない雰囲気に包まれた。その数は4950人。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、入場者数が制限され、間隔を空けて着席。マスクを着用し、大声を張り上げること、鳴り物やメガホンを叩くことは自粛を求められていたが、その中で精いっぱいの応援が繰り広げられた。

DeNA打線は8回まで巨人先発のサンチェスに1安打1四球無得点と完璧に抑え込まれていたが、0-4で迎えた9回、こうした応援を受けて奮起。先頭の乙坂、梶谷、ソト、ロペスの4連打で2点を奪い、なおも無死一、二塁。一発逆転サヨナラの好機を作って、8回まで1安打と抑えられていた巨人・サンチェスをマウンドから引きずり下ろした。ヒットが出るたびに、スタンドからは「ワッ!」と歓声が沸き、1万人分にも2万人分にも聞こえた。

巨人はやむなく、ここで左腕・中川にスイッチ。DeNAはなおも2死後に代打・中井が四球を選び満塁と攻め立てたが、最後は代打・桑原が空振り三振に倒れた。

「ベリー・エキサイティング。この雰囲気、モチベーションを明日に持っていきたい。すごく大きなサポートを感じた。あと一歩足りなかったが、いつもホームゲームでは声援のおかげで、こうして点が取れる。われわれとファンの気持ちが一体となった瞬間だったと思う」。ラミレス監督は試合後、感慨深げに語った。

今季通算成績は12勝13敗で“借金1”となった。だが、ここ数年観客動員が右肩上がりで、満員の観客がつくる異様なムードの中で、何度も試合終盤に劇的な逆転劇を演じてきたDeNAナインが、今年も底力の一端を見せた格好。なおさら、8月以降順調に入場制限が緩和されることが切望される。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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