みなとメディカル救急休止 長崎医療圏病院群輪番制審議会・井上会長「協力して乗り切る」

「長崎医療圏のピンチを協力して乗り切る」と話す井上会長=長崎市内

 〈長崎市の長崎みなとメディカルセンターが、新型コロナウイルスのクラスター発生に伴い、12日から救急の受け入れを休止している。長崎医療圏(長崎、西海両市と西彼長与、時津両町)は、同センターを含む9病院が休日夜間の救急患者を交代で受け入れる「病院群輪番制度」を運営。同センター休止の影響や、これを補完する他の医療機関の態勢について、輪番病院の代表らでつくる同医療圏病院群輪番制審議会長で、井上病院(長崎市)を運営する春回会の井上健一郎理事長(64)に聞いた〉

-同センターの救急休止を受け、どのような対応を取っているのか。
 9病院のうち7病院が4日に1度、2病院が8日に1度輪番を受け持ち、1日当たり2病院で対応している。(同センターの輪番日だった)15、19、23日については、13日に話し合いをして他の病院がカバーすることを決めた。
 同センターは非輪番日でも、かなりの数の救急を受け入れていた。輪番病院で救急医療を支えており、同センターが抜けた穴は大きい。輪番日ではない病院を含め、バックアップをきちんとしていく。外来や転院の受け入れを含め、長崎医療圏のピンチという認識はどの病院も共通しており、協力して乗り切る考えで一致している。

 -輪番病院は、どんな機能を果たしているのか。
 休日夜間の(比較的軽い)1次救急を、長崎市夜間急患センターや在宅当番医がみており、年間で計3万件程度ある。入院や手術が必要な重症患者に対応する2次救急を、輪番病院や救急医療協力病院が担当し、時間外診療数は年間計約5万件となっている。この数字には救急搬送ではなく、自力で医療機関を訪れる「ウオークイン」の患者も含まれ、輪番病院でも多数をみている。

 -休止後、何らかの変化があったか。
 15日は井上病院などで輪番を担当。井上病院では通常、外科医と内科医各1人で夕方から翌朝まで対応するが、この日は午後11時まで内科医を2人に増やし、看護師らも増員した。外科系の患者が増えたほか、発熱による来院がかなり多かった。発熱の患者はこれまで、新型コロナに対応している同センターに行っていたのではないか。そうした患者の受け入れ先も、課題になるかもしれない。

 -超高齢化や人口減少が進む中で、地域医療の在り方が議論されている。コロナ禍が影響しそうだ。
 こんな形で同センターの機能が止まるとは想像していなかったが、同センターが新型コロナ対応を優先する場合、一般診療を他の医療機関でどう支えるかという議論を始めていた。今回の事態で各病院は、同センターが担っている機能のうち、何を肩代わりできるか考えることになった。今後の地域医療の役割分担を考える上で、一つの材料になるだろう。

 


© 株式会社長崎新聞社