「県外原爆展」振り返る 長崎「黒焦げの少年」など60点 27日まで

「黒焦げの少年」の写真など約60点を展示している企画展=長崎原爆資料館

 長崎市がこれまで県外で開いてきた原爆展を振り返る企画展が長崎原爆資料館(平野町)で開かれている。長崎原爆の翌日に爆心地付近で撮影され、2016年に身元が判明した「黒焦げの少年」の写真をはじめ、熱線で溶けて変形した瓶、旧浦上天主堂のキリスト像など約60点を展示している。27日まで。
 市は1994年度以降、43都道府県の74自治体で原爆展を開いてきた。本年度は富山、鳥取両県で予定していたが、新型コロナウイルスの影響で中止となったため、代わりに企画した。県外原爆展で実際に展示しているものを紹介。被爆の実相を伝える県外での取り組みを、来館者に知ってもらう狙いがある。
 初日の16日は、長崎平和推進協会写真資料調査部会の調仁美さん(58)が来館者に展示品を解説した。「展示物を『被災資料』としてだけではなく、全ての展示に当時の人々の生活や、命が関わっていることを感じてほしい」と話した。夫婦で訪れた南島原市の会社員、三宅宗一さん(62)は「黒焦げの少年」などを見て「言葉を失った。世界に存在する核兵器を廃絶しないといけない」と語った。

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