うに汁、春酣料理… 「対馬の郷土料理を学ぶ会」がレシピ本を自費出版

対馬の郷土料理を学ぶ会が再現した江戸時代の「春酣料理」(同会提供)

 長崎県の対馬市民有志の料理研究グループ「対馬の郷土料理を学ぶ会」(14人)が、ウニをたっぷり入れた「うに汁」や、江戸時代の対馬藩で作られていた「春酣(しゅんかん)料理」など92点のレシピをまとめた本「対馬の郷土料理」を自費出版した。出版記念の食事会が18日、市内のホテルであり、山川房子代表(72)は「対馬の伝統の味は急速に失われつつある。郷土料理を後世へ伝える橋渡しの一助になれば」と話した。
 同会は市内の主婦や栄養教諭らで2017年に結成。毎月1回、同市美津島町の美津島文化会館を拠点に活動してきた。江戸時代の料理は、対馬栄養士会の会員だった山川さんらが、1970~74年に対馬藩主の末裔(まつえい)から聞き取ってまとめたレシピ集を基に再現し、郷土料理は島内各地に会員が足を運んで研究。本では調理過程もカラー写真で紹介し、料理の時代背景などもコラムで紹介している。
 「春酣料理」は対馬藩で初節句などの祝いの席に作られたもので、蒸し伊勢エビや、ワラビ、フキなど山菜の煮しめを大皿に盛り、錦糸卵を枝に掛けたサンショウの木で飾り立てた豪華な一品。コラムでは「味付けは比較的甘め。昔は砂糖が貴重なものであったため、ふんだんに使用するのがぜいたくとされていた」と解説。
 「うに汁」は同市上対馬町豊(とよ)地区に伝わる郷土料理で、ムラサキウニと、アワビの仲間のトコブシを鍋に入れ、薄口しょうゆと塩だけで味付けしたお吸い物。コラムでは「ウニやサザエが豊富に採れていたころ、ふんだんに食べられていたようだ」と記している。
 本は全85ページ。500部出版し、1冊1800円で販売する。問い合わせは山川さん(電090.5026.8032)。

「対馬の郷土料理」を自費出版した山川さん(前列中央)ら対馬の郷土料理を学ぶ会のメンバー=対馬市美津島町、対馬グランドホテル

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